第二章
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第二章
「すぐに飛べますね」
「では今日にでも」
「これからです」
いいというのだ。
「いけます」
「ううむ。それではです」
「それでは?」
「思い切って下さいね」
心から心配する顔でだ。朝彦に言う医師だった。
「もう全力で。それこそ一直線に」
「?どういうことですか?」
「迷われないで下さい」
飛ぶにあたってだ。そうしてくれというのだ。
「そのことを御願いします」
「ジャンパーは飛ぶにあたって迷ったりなんかしませんよ」
ここでもだ。彼はジャンパーとして言うのだった。
「ですから今もです」
「だといいのですが」
「先生は心配性ですね」
朝彦の今の笑みは屈託なくさえあった。
そしてだ。そのままだった。
ジャンプ台に向かう。既にその足にはスキーがセットされている。
そのうえで今飛ぼうとする。しかしだった。
「うっ・・・・・・」
ジャンプ台のだ。高さ、そして遠さを見てだ。彼は。
足が竦み顔を青くさせてだ。動きを止めてしまった。
身体もがたがたと震えている。そうしてだった。
飛べなかった。一歩も動けなくなった。その彼を見てだ。
医師はだ。彼にこう言った。
「今は飛ぶことを止めましょう」
「しかし」
「いえ、今飛ばれればです」
どうなるか。医師は真剣な面持ちで話す。
「間違いなく大変なことになります」
「失敗するっていうんですね」
「迷わずにと言いましたね」
医師は彼にこのことも話した。
「若し飛ぶことに迷えば」
「はい、思いきりよく飛ばないと」
どうなるか。それは彼が一番よく知っていた。
「それこそ」
「だからです。ましてやそこまで身体が竦まれれていれば飛ぶ以前の問題ですね」
「・・・・・・・・・」
「止めましょう」
俯き無言になってしまった朝彦にだ。医師はまた告げた。
「わかりましたね」
「わかりました」
遂にだ。朝彦もだった。
苦い顔で頷きだ。ジャンプ台から離れたのだった。
そしてだ。その後でだ。昼食を食べながらだ。医師に尋ねたのだった。
「何故なんでしょう。ジャンプ台に来たら急にああなって」
「怖いからですよ」
「怖いからですか」
「はい、だからです」
それでだ。飛べなかったというのだ。
「ジャンプに失敗して怪我をされましたから」
「けれどそれはスポーツでは付きもので」
こう反論する朝彦だった。彼はここでもスポーツマンだった。
「怪我を怖がっていたら」
「頭ではわかっていてもです」
「違うんですか」
「心は。そして身体は別です」
そうだというのだ。朝彦に対して。
「恐怖を覚えているものです」
「だからああしてですか」
「身体が無意識のうちに止まってしまったのです」
医師は彼に
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