Episode26:敗北と事の終わり
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側面の壁が何者かによって砕け散り、瓦礫が龍舜秦へ降りかかる。それを一刀の元に斬り伏せると、青い影は龍の懐に潜り込んでいた。
「ラァッ!」
気合い一閃。流れるように繰り出された正拳突きが、龍を殴り飛ばした。
「くっ…はっ」
体中の空気を吐き出し、龍は奥の壁に激突した。だが、勿論そんなことで倒れるはずもなく、龍は追撃に備えて素早く立ち上がった。
そこに、突っ込んでくる青の影。
「九十九、隼人…!」
「シッ!」
雷を纏って繰り出される上段蹴りを体を屈めて回避。そのまま、隼人の蹴りは背後の壁を粉砕した。
そのあまりの威力に絶句するも、体は長年の戦闘経験によって動く。
左回転して突き込まれる右拳を最小限の動きで躱して、龍は口を歪に歪ませた。
「獲った」
思い浮かべたのは、自身の刀が隼人の首を一太刀で撥ねる光景。そして、手に残る快感の余韻。
だが、
「ッ!」
龍の刃は、隼人の首に届く前に黒いナニカに受け止められた。驚きに目を見張る龍を、途轍もない悪寒が襲った。
「全てを凍てつかせる斬撃」
軽く人間数人を飲み込む氷剣は、瞬く間にその体積を増し龍を飲み込んだ。
「…くッ…ハッ、ハァ」
氷剣の中に囚われた龍の姿を認めて、隼人は安堵の溜息をついた。同時に、途轍もない疲労感に膝を折る。
もう、精神的に酷く消耗していた。そこに雷帝と砂鉄操作、そしてデュランダルの三魔法同時発動という荒技によって、隼人は体力すらも大幅に奪われていた。
隼人はCADを必要としない。それは、常人離れした魔法発動スピードがあるからという途轍もないアドバンテージによるものだが、隼人のBS魔法にもしっかりと欠点はある。
それは、疲労するのが早いという点だ。
普通の魔法師が魔法を発動する場合、彼らは座標を指定し、CADにサイオンを流し込む。後はCADが指示された座標へ勝手に魔法を発動させるが、隼人は違う。
隼人は、CADを必要としない代わりに、CADが行う処理の全てを自身で行わなければならないのだ。
座標、規模、そして魔法の種類、そして勿論、サイオンを書き換えるのも隼人の役割だ。隼人の場合、意識して行うのに細かな計算は必要ない。ただ、膨大な想像力を必要とする。例えば、全てを凍てつかせる斬撃を発動させる場合、この場所にこれくらいの大きさの氷の剣を作り出すということを、まるで現実で見ているかのようにイメージしなくてはならない。
普通ならば、CADという精密機器に頼り計算させる作業を、隼人は一瞬の内に、計算の代わりにイメージを並列思考という技術を使って処理する。
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