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魔法科高校の神童生
Episode26:敗北と事の終わり
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その言葉に、スバルは刃を引いた。そして溜息をもう一つつくと、克人に背を向けて歩き出す。

「信じてるわよ、十文字家当主殿」

そう言い残して、スバルは廃墟から姿を消した。



☆★☆★




「お世話になりました」
「はい。これからは無理はしないようにしてくださいね」

医者の忠告に頷いて、俺は一週間ほどお世話になった病院を後にした。入院中は何もできなかったから暇で仕方なかったけど、今となっては少し寂しく感じてしまう。でもまあ、戦いの中に身を置いていればまた来ることにもなるだろう。
……来ないのが一番なんだけどね。

そんな自分のバカな考えに苦笑いを浮かべて、帰路につく。今まで俺が入院していた病院はいつも通学のときに使っている駅に程近い場所だったから、一人で帰るのに苦労しないのはいいことだ。

(それにしても、今は丁度放課後かぁ…なんか、誰かに会いそうで嫌だなぁ)

一人で私服でいるところに同じ学校の制服着た人達に会うと気まずいよね。正に今そんな状況です。
キャビネットが一昔前の『電車』なるものじゃなくてよかった。

「あれ?隼人?」
「!」

駅について、急に話しかけられて体がビクリとしてしまう。ああ、そういえば最近会ってなかったなぁ。

「や、久しぶりだねエイミィ」

「うん、久しぶり!ああ、そっか。今日が退院の日だったのね」

「うん。明日からはもうバリバリ学校にも行けるよ」

俺とエイミィの家は、最寄り駅こそ一緒なものの結構な距離がある。というのも、九十九家の情報をなるべく秘匿するために、十師族からの命令で都会から離されたのが原因だ。
まあ、結構自然豊かでいいところだったから特に文句はない。修行場所にも困らなかったしね。

「それにしても、隼人がやられるなんてね。相手はそんなに強かったの?」

「あー、うん。強かったよ」

確かに、一筋縄ではいかない相手ではあった。けど、入院するほどの怪我を負わされるほど実力に差があった訳ではない。
やっぱり、全てはコンディションが最悪だったことだろう。それ自体は言い訳にはならないし、するつもりもない。全ては精神的に弱い俺が悪いのだから。
ただ、今回の戦いで得たものもある。それは、俺はこれから、自分の抱える葛藤と正面で戦うことになりそうだということを自覚できたことだ。

「けど、負けないよ…」

「……そう」

言葉に含んだ内情に少し感付いたのか、エイミィの声は少し暗かった。そのまま、会話はなくなってしまった。

「あ」

ふとエイミィが声を上げると、そこはもう分かれ道だった。

「じゃあ、また明日ねエイミィ」
「…うん。また明日」

そう言い合って、俺は真っ直ぐに道を歩み始めた。エ
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