Episode26:敗北と事の終わり
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ている。
「なら、私に止める権利はありません。気をつけてくださいね」
「はい、了解です」
その様子に一先ずは平気だと判断して、鈴音は食い下がることにした。鈴音の言葉に薄っすらと微笑むと、隼人は足早にその場を後にした。
「……完成体。彼が、そうなのでしょうか…?」
隼人よりも、深い闇を宿した瞳で、鈴音は呟いた。
蘇る記憶は、両親に聞かされた非人道的な実験の数々。その常軌を逸した研究の成功体の中でも、最高傑作と言われている存在の名称を持つ少年の姿が、隼人と重なっていた。
「…だとしたら、私には彼を見守る義務がある。彼には、決して償いきれない罪があるのですからね…」
自分に言い聞かせるように、鈴音は呟いて踵を返した。
☆★☆★
「…さてと」
学校を出てしばらく。現在、隼人はブランシュの隠れ家と思しき廃工場の裏に身を潜ませていた。
短く息を吐き出し、端末で時間を確認する。
「…きたね」
大型のオフローダー、それに乗車している知り合いを見つけて追い越してから数分。先程聞こえた何かを破壊したような音に、重いエンジン音。達也たちが到着したことを悟る。ちなみに隼人の移動手段は加速魔法で全力疾走だった。
「表の処理は達也に任せることにして…俺は約束通り、あの男女の相手をすることにしよう」
恐らく、勝っても負けても、丁度いい時間になるだろう。
「……行くか」
小さく呟いて、隼人は裏口と思われるドアを蹴破った。そこに敵が潜んでいることは事前に把握済み。急に吹き飛んできたドアに、二人のブランシュ構成員は為す術なく押し潰された。
その結果を見ることもせず、隼人は足早に施設の奥へと足を運んだ。
☆★☆★
(…キャストジャミング波が至る所から発生してる。まだあいつは見つけてないし、先に潰しておこう)
施設内に入った途端にイデアの世界の至る所でサイオンを妨害するジャミング波の存在を感知した隼人は、未だ見つけられない龍舜秦のことを後回しにすることにした。それは、今回の目的が龍との約束を果たすことではなく、ブランシュの殲滅だと自らに意識させるための行動だった。
いつもより冷静でいられない自分に憤りと情けなさを覚え、それを溜息として吐き出す。
来なければよかったかな、と若干後悔するも、既に遅かった。
「…!」
奥の曲がり角の向こう側からの会話が耳に入り、隼人は素早く壁に体を押し付けた。
懐から金属製の腕輪を取り出し手首に嵌め、金具にワイヤーを通して、ゆっくりと距離を詰める。
勝負は一瞬でついた。
角を曲がってきた二人の男。隼人はまず奥側にいる男にワイヤーを射出し
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