第百六十二話 ならず聖その十一
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「ですから」
「ここは」
「お逃げ下さい」
影として石川に言う。
「他の方々も」
「わかった、ではな」
石川は使者の言葉に頷いた、そのうえでこう言った。
「楯岡殿、音羽殿にな」
「そして百地殿にも」
「お伝えしておく」
こう返すのだった。
「その様にな」
「有り難うございます、それでは」
「松永殿にはわかったと伝えてくれ」
今度は石川からの言葉だ。
「このことはな」
「それはその様に」
「ではな」
このやり取りをしてからだ、そしてだった。
石川は今度は楯岡、音羽にも話を伝えそのうえで百地のいる本陣にと入った。そのうえで三人にこのことを話した。
その話を聞いてだ、楯岡と音羽はこうそれぞれ言った。
「ふむ織田信長やはり目がよい」
「もうy察してきたか」
「それではここは」
「そうじゃな」
まず言ったのは百地だった。
「ここは去るか」
「そうしますか」
「うむ」
まさにだというのだ。
「そうしようぞ」
「織田信長に今は気付かれぬ様に」
「御主がいたことだけで今姿を消せばな」
それでだというのだ。
「まだ織田信長が我等のことを確信し伊賀に来るまで時間がかかる」
「それ故にですな」
「今のうちに」
「姿を消す、後は影共に戦わせる」
そこは適当にだというのだ。
「わかったな」
「では越前や加賀と同じですな」
ここでこう言ったのは楯岡だった。
「そうしますな」
「そうじゃ、そもそも我等の役目は織田信長に石山を攻めさせぬこと」
「今の時点では」
「だからじゃ、その役目は果たせる」
ここで彼等自ら戦わずともだというのだ。
「だからここは去るぞ」
「畏まりました」
「では」
楯岡だけでなく音羽も応えた、そうしてだった。
四人は姿を消した、それで滝川と蜂須賀の手の者達が敵陣を見た時には既に彼等はいなかった。それでだった。
彼等は滝川達のところに戻りこのことを報告した、話を聞いた滝川はいぶかしむ顔になり蜂須賀に問うた。
「このことはどう思う」
「逃げたのかのう」
蜂須賀は腕を組み考える顔で述べた。
「それは」
「石川がか」
「それは仕事を受けに行ったかな」
それでもだrというのだ。
「話の折り合いがつかぬじゃ」
「去ったか、か」
「逃げるにしては勘が良過ぎるか」
こうも言う蜂須賀だった。
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