第八話 土の忍者その十六
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そして怪人は爪だけではなかった、今度は。
牙も使ってきた、それで菖蒲の喉を襲ってきた。だが。
菖蒲の目が光った、そして。
その牙が来たところでまた身体を左に捻ってかわした、かわすついでに。
右手に持っている剣を一閃させた、剣には氷を帯させている。斬るだけでなく冷気も怪人に叩き込んだのである。
怪人の動きがそこで止まった、しかも。
攻撃はそれだけではなかった、菖蒲は今度は剣を下に突き刺した。剣の先が裏通りのアスファルトに突き刺さると。
そこからも氷が出た、氷はアスファルトを走りそしてだった。
怪人の両足を包んだ、そうして怪人を動けなくさせると。
菖蒲は怪人の背中に出ていたがそこから身体全体を振り向かせてだった、真上に跳躍し。
空中、ビルの壁と壁の間で前転した。そのうえで。
両足を揃えその姿勢で怪人の後頭部に向けて急降下した、その両足の蹴りを怪人の頭に放った。それでだった。
怪人に止めをさした、菖蒲は怪人の身体の前に着地し右膝を前にした状態で膝を屈めて着地の衝撃を殺して着地した、そのうえで怪人の方を振り向いて言った。
「これで終わりね」
「見事だな」
「攻撃の終着点を見計らっていたわ」
菖蒲はこう今から消える怪人に言った。
「そして貴方が牙で噛もうとしたところで」
「そこでか」
「仕掛けたのよ」
今の通りというのだ。
「そうしたのよ」
「そうなのか、考えていたか」
「戦いは頭よ」
それで行うものだというのだ。
「私の読みは当たったわ」
「その通りだな、貴様の勝ちだ」
怪人もこう菖蒲に述べた。もう動くことも出来ず立っているのがやっとだった。
「俺も貴様達を倒せなかったか」
「そうね、けれどまだね」
「我が同胞達はまだ出て来る」
何処から出て来るのは言わなかった、彼も知らないが故に。
「後は彼等に託そう」
「それではなのね」
「消える」
怪人は自分から言った。
「さらばだ」
最後にこう言ってだった、怪人は灰となり姿を消した。菖蒲は灰が風により消え去っていくところまで見届けてから仲間達の方に身体ごと振り返って言った。
「終わったわ」
「ああ、見事だったな」
「いい闘いだったわね」
薊と菊がその菖蒲に言う。
「流石っていうかな」
「頭のいい闘い方だったわね」
「力は使い方次第よ。剣もね」
そのどちらもというのだ。
「そういうことよ」
「だよな、とりあえず今回も勝てたな」
「ええ、そうね」
「じゃあ街に戻るかい?」
「見物を再開しましょう」
菖蒲は冷静そのものの声で薊に答えた。
「またね」
「普通にだな」
「ええ、普通によ」
まさにそうしてというのだった。
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