第八話 土の忍者その十三
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「怪人が藤枝さんを狙って私達に策略を仕掛けてくるかも知れないわ」
「人質とかか」
「そうなっては厄介よ」
こう言うのだった。
「だからここはね」
「裕香ちゃんも一緒にいるべきか」
「私達の後ろにいればいいわ」
それが最も安全だというのだ、裕香にとって。
「だから。藤枝さんは私達と一緒にいて」
「うん、それじゃあ」
「じゃあ裕香ちゃん離れるなよ」
薊は裕香に顔を向けて強い声で言った。
「絶対に」
「うん、じゃあ」
「そういうことでな」
「それじゃあ中に入ろう」
裏道の中にとだ、菊が三人に声をかけた。
「これからね」
「ああ、ずっとあたし達を見てるな」
薊はまた目を鋭くさせて言った。
「相手は」
「うん、前に闘った蜂より強い気配ね」
菊は薊達とはじめて会った時に闘ったあの怪人のことをここで言った。
「用心しないとね」
「そうだよな、どうやら」
「強いわね、今度の相手は」
「だからね」
それでだと言う菊だった。
「どういう相手かによるけれど地形を活して闘った方がいいかもね」
「この辺りのこともよく知っているわ」
菖蒲がその菊に答えた。
「子供の頃から遊んできた場所だから」
「じゃあ裏道も」
「知っているわ、任せて」
「そうなのね。それじゃあ」
「行きましょう」
菖蒲も言ってだ、そしてだった。
四人はその裏道に入った、そうして。
ビルとビルの間のその裏道を進み角を曲がってだ、表通りの喧騒がBGMになったところで三人は振り向いた、そのうえで裕香を自分達の後ろに置いて言った。
「おい、もういいだろ」
「出て来たらどうかしら」
薊と菖蒲が言った。
「ここなら誰にも見られないぜ」
「好きなだけ闘えるわよ」
「わかった」
声が言ってきた、そして。
豹と人間をかけ合わせた姿の怪人が四人の前に出て来た。そのうえで薊達に対してこう言ってきたのだった。
「でははじめようか」
「今度は豹かよ」
薊はその怪人の姿を見て言った。
「また色々出て来るねえ」
「そうなのか」
「そうなのかってあんた自身はそうした事情は知らないんだな」
「俺はただ貴様等を倒すことが目的だ」
怪人は薊の言葉にこう返した。見ればその手は人間の形をしているが爪はまさに豹の鋭いものである。
「それ以外のことは知らない」
「どうして生まれたこともかよ」
「そうだ、知らない」
まさに一切、というのだ。
「だから聞いても無駄だ」
「やれやれだね。じゃああたし達を倒すのが目的ならな」
「闘うのだな」
「そのつもりでここに誘い込んだから」
菖蒲が怪人に告げた、そうだと。
「そうするのが当然ね」
「それもそうだな、ではだ」
「今からはじめましょう」
こう言ってだ、
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