第32話「麻帆良祭〜新たなる未来〜」
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ありえない。
タケルは彼女を殺すつもりなどないし、そんな事故が起こることすらありえない。危険な武器を彼女に使うこと自体避けてきた。
さすがに動揺を隠せないタケルに、ネギは声を涙ぐませて言う。
「それで、だから。どうにか今日に帰ってきた僕たちはずっとタケルさんと超さんにだけ目を配らせていたんです。タケルさんがそんなことをするはずがないって……皆でそう祈りながら……」
悔しげに顔を歪ませ、ネギの表情には激情が。
「なのに! やっぱりあなたは超さんを殺そうとした!!」
「いや、ま……」
タケルは無表情に、だが本気で困惑していた。
――……俺が殺そうと?
混乱しそうになる自分自身を必死で抑え、だが自分がどういう体勢でいるかを思い出して全てを理解した。
今、彼は超に馬乗りになって正に刃を振り下ろそうとしている状態だ。
つまり、例え本人が殺す意思をもっていなくても、他人から見たら殺そうとしているようにしか見えない。
「……これはただ、諦めさせるつもりで」
――超さんを殺すつもりなどなかった。
とはいっても誰も信じようとはしないことは明白。何せネギ達は未来を見てきたのだ。そして、その未来では実際にタケル自身が超を殺したという事態が起きている。
――……この際、俺が超さんを殺したという未来はおいておくとして。
グルリと、タケルは自分の周囲に目を向ける。
かつてなく彼女達の目は厳しい。
のどか、ユエ、パル、チウ、クー。
アスナも、刹那も、ネギも。
そして……楓も。
木乃香……は少し分かりづらいが。まぁ、それはともかく。
刹那や楓なら殺気の有無で気付きそうなものだが、『タケルが超を殺す』という先入観がその判断を曇らせている。
――これは……どうしようもないな。
「……で、どうしたいんだ?」
諦めたように立ち上がり、ソードをホルダーに。
それを機に、刹那と楓も数歩下がって、タケルをいつでもけん制できる位置に構える。
タケルは自身と同じように困惑気味の顔をしている超にも目を向けつつ、ネギへと向き直る。
「どうして……こんなことをしたんですか?」
「こんなこと、とは?」
あくまでもとぼける彼に、ネギが僅かに苛立ちを含ませて。
「どうして超さんを殺そうとするんですか!!」
「……」
「タケルさんなら、殺さなくても超さんを抑えることだって出来るはずじゃないですか!!」
震えた声が空に木霊した。信じていた人に裏切られたことによる悲しみと怒り。
――この人が。この人なのに。
ネギ自身ですらもよくわからない苛立ちを抱えている。
「なんのこ
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