暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
61話:彼が帰るべき場所
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た彼は、弱々しく口を開いた。

「俺は…もう誰も傷つけたく、ないんだ…」

彼らしからぬ、細々とした言葉。それには三人共同様に驚きを見せる。

「あの時も…そうだった…」



PT事件の―――プレシアの事。
あの時自分が油断していなければ、もっと周りに注意を向けれいれば……彼女は生きられたかもしれない。

闇の書事件の―――リインフォースの事。
もっと自分に力があれば、彼女が生き残り、もっとより良い方向になってたかもしれない。

プレシアが死んだ所為で、フェイトが悲しみ……
リインフォースが死んだ所為で、はやて達と幸せになる筈だった未来が消えた……



「俺に力があれば…皆悲しまずに、傷つかずに済んだ…」

そして今回は彼が、彼自身の手でなのは達を傷つけた。その事実が、さらに彼の心を傷つけた。

「俺がいたら、また皆が傷つく。最悪、俺がこの手で皆を―――」

殺す事になるかもしれない。
彼はそう言って、自らの手を強く固く握りしめた。

「大切なものが…この両手で守り抜こうとしていたものが、零れ落ちていく…」

強く握ったその手を自分の前に持ってきて、それを見るように項垂れる。片手でできた拳を、もう片方の手で包むように握る。

「それが嫌なんだ…。俺はもう、大切な誰かが傷つくとこなんか見たくない…ましてその原因が俺自身にあったなら……悔やんでも、悔やみきれない…!」

少し嗚咽が交じりながら、自分の心を抉るように…彼は静かに語る。

その涙を見て、三人はようやく彼の本心がわかった。
彼が言った通り、彼は誰にも傷ついて欲しくないのだ。彼女達が傷つかないように、その笑顔が消えないように……

「だから、俺は―――」












―――ほんま、何遍も言うつもりはなかったけど…


「ほんまふざけとんのか!!」


そんな言葉が、裏山に木霊する。
途中で言葉を切られた彼は目を大きく開き、またなのはもフェイトも驚いたようすではやてを見た。

「自分に力があったら、リインフォースを救えた?アホぬかせ!そんな過去の事を引っ張り出してどうしよう言うんや!」

明らかに先程よりも激昂しているはやて。それはもう後ろに仁王のオーラができているのではないか、と疑いたくなる程のものだった。

「別にリインフォースの事を忘れた訳やあらへん。でも私は!あの子の分まで生きようと決めとるんや!あの子が残してくれたもの―――私のこの力と、あの子の欠片を受けて…しっかり胸張って生きてこうって!」

そう言って手を自分の手に添える。彼女の中には、リインフォースが残してくれた力が。首からぶら下がる欠片は彼女のデバイスとして、今尚彼女を支えている。

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