暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
61話:彼が帰るべき場所
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た。
顔を上げた先、その視界に入った彼の表情は…先程と違ってサングラス越しでも怒りの物だとすぐにわかった。
「…頼むから…離してくれ…!」
だが、彼の表情から読み取れるものはそれだけではなかった。
怒りの感情の奥に、悲しみなのか苦しみなのか、そんなものが感じられた。はっきりしないのは、やはりサングラスの所為だろうか?
「これ以上…俺の決意を……揺るがすなよ…!」
決意。彼が口にした言葉が、一瞬頭を過る。
彼がどんな思いを抱えているのか、どんな決意をしたのか、なのはにはわからない。
だからこそ―――
「話してくれなきゃ、わかんないよ!私、わかんないままなんて嫌だ!何もわかんないままこの手を離して…『家族』と離れ離れになるのなんか、絶対に嫌っ!!」
言葉で伝えてくれなきゃ…ちゃんと真正面から向き合ってくれなきゃ、何もわからない。なのははそれが許せなかった。
「話してよ!私達と一緒にいられない理由も、士君が決めたっていう決意も!話してくれなきゃ、何もわからないよ!!」
そんななのはの、一生懸命な言葉に……
―――彼は、奥歯をギリッと鳴らした。
その音が苛立ちから来るのか、はたまた別の何かか。しかしなのはにはもう、そんな事を考えている余裕はなかった。
ただ彼に言葉を、思いを…ちゃんと伝えようとすることで、精一杯だった。
「……やっぱり、ダメだ。俺は…」
その思いを受け止めても、彼は言葉を濁しただけ。結局彼の真意は話されずに……
「士!」
「士君!」
だがそこへ新たな声が。彼はその声がした方向―――高台への階段の方へと視線を送った。
そこには少し前のなのはと同じように、肩で息をしながら階段を上がってくるフェイトとはやての姿があった。
最後の段まで到達して、息を整える二人。それを見た彼は驚きの声を上げる。
「なのは、お前まさか…!」
「うん。ここに着いて士君の姿を確認した時、二人に連絡したんだ。今までの話も、二人に伝わってる」
なんとまぁ用意周到なこって…、とぼやく彼。
そこでようやく息が整った二人が、顔を上げて彼をしっかりと目で捉える。
「ふざけるんやないで、士君。私らを置いて行くなんて」
「私達もなのはと同じ気持ちだよ。聞かせてよ、士の思いを!」
はやてとフェイトの言葉に、彼はじっと黙ったまま立ち尽くす。
少しの沈黙が過ぎると、彼はかけていたサングラスを外す。その瞳は外したその時は閉じられていたが、彼はゆっくりと開く。
「「「―――っ!?」」」
彼の開かれた瞳を見た瞬間、三人は目を見開いた。
その瞳の黒目の部分が、淡い“青色の混じったマゼンタ色”に染まり揺れていた。
「士君…その目…」
「…
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