暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
61話:彼が帰るべき場所
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ほんとになんとなくだが…彼があそこに立っているような気がした。
段々と雲行きが怪しくなってくる中、なのはは少しずつ高台へと進んでいく。
はぁ、と吐く息が白くなり、また気温が下がってきた事がわかる。やっぱり冬だなぁ、と思ったその時、
「士君、服大丈夫かなぁ…」
と進む先を見上げながら呟く。その呟きも白く染まり、空に溶けていく。
確かジャケットを着ていた筈だが、流石にそれだけだと寒くないだろうか。頭に浮かんだ寒がってる彼に、少し笑みがこぼれる。
しかしもうすぐ高台だというところまで来ると、自然と表情が引き締まる。
この間のように足を踏み外さないように気をつけながら、一歩ずつ高台へ向かっていく。
「――――――」
〈――――――〉
その途中、何かが耳に入ってきた。思わず顔を上げて周りを見渡した。
周りは勿論木、木、木。人影の一つも見当たらない。聞こえてきたのは聞き覚えのある声と…何処か機械的な声?
そう思った瞬間、なのはは高台目がけて駆け昇る。途中で雪に足を取られそうになるが、片手を階段について立ち直る。
息を荒くし、階段を駆けあがる。数日前の戦いの疲労がまだ残っているのか、足が重く感じる。
ようやく最後の段に足を乗せ、高台に到着する。疲労して膝に手をついて息を整える。
〈―――能力リミッター、完了しました。これで少しは…〉
だがこの声が聞こえた瞬間、ガバッと顔を勢いよく上げる。
そこには両手を落下防止の柵に置いて、前のめりの体勢で街を眺める人物―――おそらく士の背中が見えた。
服装はさっき頭で描いたものではなく、コートのような黒い上着を着ていた。その右手首にある白い腕輪には光る赤い宝石が。
「あぁ、ありがとなトリス。お前にも随分無茶させちまった」
〈いえ、私は大事なところで何もできませんでしたので…〉
「それ言われたらなぁ…」
柵に乗せていた手で頬をポリポリとかいて答える彼。少しずつ落ち着いてきた体を、ゆっくりと起こす。
そして息がちゃんと落ち着くのを待って、なのはは一歩踏み出した。
「ていうか、もう大丈夫なのか?その…異常とかは?」
〈先日起動した際には見つかりませんでしたが……もう少し探ってみます〉
「あ、いや無いなら別に―――」
〈マスター〉
「…わかったわかった、頼むよ」
それを聞いた腕輪の宝石―――トリスが一、二度宝石部分を光らせる。
ふぅ、と彼が静かに息を吐いて天を仰ぐ。
「しかし、だいぶ寒くなってきたなぁ…雪も降ってきたし。もしかして去年より寒いんじゃねぇ、これ?」
「…天気予報じゃそこまでじゃないって言ってたよ?士君のその服が薄いんじゃないの?」
士の愚痴のように零した言葉に、なのはが口を開いた。しかしそれに対
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