間違っていない選択などない、あり得ない。
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師が口を閉ざす。これ以上の発言は、校長という独裁者によって禁じられているようだ。
「冥星君、君を収容所に行かせるわけにはいかない」
「……どっちでもいいが、強いて言うなら楽な方がいいな」
「君は人類にとって希望であり……同時に災厄でもある――君のお姉さんがそうだったようにね」
「――――俺が、あいつの代わりだと?」
「いいや、違う。私はそうだと信じている。君は決して、怪物にはならないことを」
「そうか」
信頼されている。校長は冥星のことを誰よりも危険視していると同時に期待している。
殺戮者として処分されるか、未来を守るために人類の味方になるか……そのどちらかを選べと。
「……何を心配しているのかわからないが……俺は親のことや姉のことなどどうでもいい。革命やら暴走やら……なにかしら迷惑をかけたらしいが、俺は無関係だ」
「――もちろん、信じたい。しかし――」
「だが、俺は自分の国を作る。これは決定事項だ。俺の作る国は誰も働かなくても暮らしていける最高の帝国だからな。皆ハッピーだ」
「……そこに、人は住んでいるのかね?」
「もちろんだとも。お前らのような数ばかりが多い下等生物でも確かにうまい料理は作れるからな。大歓迎さ」
「ふ……ふふふ……あっはっはっはっは……君は、実に、子供らしいよ」
「もちろんだ。俺は小学五年生。夢見るお年頃だ」
校長は、冥星の肩をしっかりと掴み、その湿った瞳で冥星を見つめた。無礼な奴だと思いながらも、なぜか冥星はその手を引きはがすことができなかった。
羨望、困惑、慈愛、嫉妬……様々な感情の入り混じった瞳だ。ミュータントは人間ほど感情的になれない。感情よりも理性を制御する力を持ち合わせているからだ。
果たしてそれは良いことなのだろうか。
「どうか、このまま真っ直ぐに――――」
傷つけ、苦しめ、それでもなお、己に期待を託すようなお人よしに、こんな顔をされても、自分の心は何一つ動くことはなかった。
人類は確かに愚かだ。自分にも多少なりこの男のような気持ちがあれば、あるいは――。
「俺は俺のやりたいようにするだけさ」
そんなくだらないことを考えてしまうくらい冥星は腹が減っていたのだった。
※※※※※※※※
「め、冥星さま……」
「あぁ? ご飯を食べている時は声をかけるなとあれほどいっただろうブース!!」
「う……じゃ、じゃあお休みの時に少しお話をしてもいいですか?」
「やだ」
「じゃあいつ話せばいいんですか!?」
なんだか最近、奴隷がうざくなってきたなと思う今日この頃な冥星は至福のひとときである夕飯の時間を邪魔されご立腹だ。ただでさえ、ブス(冥星視点)なのに己の障害になるなら、それは災害ではないだろうか。エリザを災害指
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