暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第二部 vs.にんげん!
第20話 つみのろうごく!
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覚えのある魔物だった。槍を持ち、鎧を着た二足歩行のトカゲ。太陽神殿の消える石碑がある部屋で、以前戦った事がある。
 トカゲ達が槍を構え、橋の上を一直線になって走ってくる。イヴがウェルドを押しのけ、前に立った。彼女が杖をかざして呪文を唱えると、紫色の雷が橋の上を駆け抜けて、魔物達を貫いた。
 生き物の焼ける臭い。
 魔物達は肉体の制御を失って倒れ、痙攣し、何体かは橋から落ちていった。
「やるじゃん」
 イヴは面白くもなさそうに銀髪をかき上げた。
「どこかの頼りにならない気障(きざ)な魔法使いと一緒にしないで欲しいわね」
 ウェルドは橋の上に残っている魔物をフリップパネルで弾き飛ばし、溶岩に沈めてから、対岸に渡った。
「結局あなたとあの子、仲いいんじゃない」
「あの子って、ノエルか」
「もう一人のほうよ。やれぶん殴ってやるだの、やれ無視されただの、散々大騒ぎしながらこうして汗水垂らして探してあげるなんて」
 仲がいいかどうかはわからない。
 一つだけわかるのは、何故最初の仲間にディアスを誘ったかだ。知識が豊富そうだから? ディアスにはそう言った。だが、違う。今ならはっきりわかる。
 同族の臭いを、暗い、血の臭いを感じ取ったからだ。
「アイツの為じゃねーよ」
 ウェルドは歩きながらかぶりを振った。
「探してやる理由なんて決まってるだろ! 後で思いっきり恩に着せてやるためだよ。二度と偉そうな口きけないようにしてやる」
「本当に単純ね。柱から出た順番がたまたま早かったっていうだけで、優位に立った気でいるんだから」
 溶岩の流れる音に混じって鎧の触れ合う音が聞こえる。またトカゲ人間だ。この洞窟内は独立した島と天然の橋で構成されているが、行く先々に同じ魔物がいる。ウェルドは面倒くさくなって、橋の上にバキュームを置き、直線状にいる魔物を吸い取った。吸いきれなかった対岸の魔物にイヴが雷の魔法を撃ちこむ。
 ウェルドの顔の横を、光る弾がひょろひょろと通り抜けて行った。弾は対岸の魔物に当たり、怯ませた。
 イヴの後ろにいるオルフェウスが杖を構えているので、彼の魔法だとわかった。
「今のお前?」
「何ですか? その煮え切らない顔は。働かないと宣言したこの僕が折角働いていると言うんだから、もう少し感謝を示してもいいのではありませんか?」
「いや、なんつーか、お前の……イヴのと比べると随分見劣りするよな……」
「どこまでも失礼な人ですねえ。単に僕は美意識が高すぎてゴリ押しするのに向いてないだけですよ。攻撃すればいいってものでもなし、それにほら、何にでもバランスという物があるでしょう。その点、僕たちの中で攻撃用の魔法と回復用の魔法を使えるのは僕だけですしね!」
「回復魔法を頼むならルカかサラをアテにするわ」
「攻撃魔法が欲しけりゃディア
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