暁 〜小説投稿サイト〜
星の輝き
第36局
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カルたちは胸をなでおろした。だが、アキラと緒方はじれったかった。ヒカルとsaiの棋譜の話がしたいのだが、桑原がいるためにできないからだ。

 saiの棋譜のブログは、取りあえず試験段階ということで、外部には非公表で試験的に作ってみようということで緒方とアキラが押し切っていた。現在十局程の棋譜を借りて、アキラが作成に入っている。昔のは清書できていないからと比較的最近の棋譜だったが、どれもが見事な名局だった。緒方の目で見ても、まさにタイトル戦に匹敵するのではないかと思える碁ばかりだった。ぜひ進藤を交えて検討をしたいのだが、なかなか時間が取れないのが問題だった。
 ここ最近の勉強会では芦原が顔を出す事が多く、saiの事を知らされていない芦原の前では話すことができず、芦原本人は理由が分からないまま緒方に八つ当たりされたりもしていた。

 
 その後、検討が落ち着いたところで、桑原が窓際に行きタバコで一服しつつ、思い出したように緒方に尋ねた。

「そういえば、先日の国際アマチュア囲碁カップで途中なにやら騒ぎが起きたといっておったの。緒方君は何か聞いておるかね?」
「ああ、ちょうど私も居合わせましたよ。どうも世界各地で話題になっている碁打ちがいるようで、色々と探している人がかち合ったみたいですね。ネット碁の人物なのですが、非常に強く、負け無し。日本人らしいのですが正体不明なので、多くの参加者たちが探していたみたいですね」
「ほう、それはまた。日本のプロかね?」
「…それがどうも、プロではないのではないか、と噂なんですよ」

 ヒカルに鋭い視線を送りながら、桑原への返事を返す緒方。口調は穏やかだが、その目は鋭かった。

「ほう、ネット碁にのう。わしはああいったのは性にあわんでなぁ」
「ハハハ…、そんな人がいるんだねぇ」
−おや、まぁ。

 冷や汗を流しつつ視線をそらすヒカル。あの目を見続けるのはまずい。

「へ、へー、そんなアマチュアの大会もあるんですね」
 
 ヒカルを横目に、あかりは話題をそらそうと緒方に声をかけた。

「ああ、もう毎年恒例だ。今年の日本の代表選手の島野さんは以前よく名人の研究会に顔を出していた顔なじみでね。ちょっと応援に行ってたんだ。な、アキラ君」
「ええ。島野さんはネット碁はしていなかったけど、他の参加者、特に中国や韓国の選手はかなり熱心に聞いて廻っていたよ。島野さんもかなりしつこく聞かれてたね。どうやら、saiと中国や韓国のプロ棋士たちも対局していたようだね。全員負けているものだからね、結構話題になっていたよ」
「ま、saiに勝てないのは日本のプロも同じなんだがな…」

「saiというのが、その正体不明な人物の名前かね?」
「ええ、ネット上のハンドルネームですがね」

「はいはい、休
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