第一話 友を得る白馬
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公孫賛に連れられて着いたのは、豪華な佇まいの如何にもな高級料理店だった。
その店の名は娘娘。
ふと、脳内にはトライアングルな人間関係に悩みながら宇宙でドンパチする男が思い浮かんだ。
――確かに俺の気分はデカルチャーだよ。なんせ公孫賛や関靖が女の子の世界なんだからな。
自分の暮らしていた世界の記憶を思い起こして苦笑すると、公孫賛はギクリと肩を引くつかせて、何処か緊張した表情で俺を見つめた。
「い、命を奪う所だったんだ。たらふく食べてくれて構わないぞ」
そんな公孫賛を見る関靖は不安そうな表情をしていた。二人の様子から脳裏に思い浮かぶ事は二つ。財布の中身が少ないか、もしくは俺の身体の大きさからどれくらい食うのか不安な為か。
しかし、別に命を奪われそうだったとしても言えないけれど理由があるのだからそこまで気を使われなくてもいいのだ。そんな状況の場所に俺を出現させた腹黒少女にこそ責任がある。
この世界に落とした張本人への怒りが湧いたが、どうにか抑え込んで公孫賛に断りを入れる事にした。
「公孫賛様、俺はただの庶人ですのでここまでして頂くのは些か申し訳ないかと。堅苦しい雰囲気よりも……そうですね、のんびりとした幽州の空気を味わえるあの団子屋など如何でしょう?」
すっと指を差した先には簡素な団子屋。一瞬、呆気にとられた公孫賛はすぐに俺の方に向き直り、困ったような顔をした。
「その……しかしだな……私はこの地の太守なんだ。だからこれくらいしないと示しがつかない。どうにか呑み込んでくれないだろうか? それに娘娘の料理は絶品だ。きっと気に入ってくれると思う」
「ですがあなたが誘ってくれたのは食事。俺はそれに了承しました。あなたの作ってきた街や民を眺めながらの方が、俺には幽州での最高の食事に思えます」
何故か必死になって高い店を推そうとする公孫賛に対して、自分の考えている事をそのまま言うと困った顔をして口を噤んだ。
確かに太守ともなれば高級な場所へ入って力を示すのも大切だろうけど、どこか無理しているように見えた。太守が団子屋で並んで食事、なんてのはおかしいかもしれないが、こんな可愛い女の子の公孫賛なら許されるんじゃないかと考えたのも一つ。
「白蓮様、城に帰ると沢山の仕事が残ってます。娘娘に入ると全ての料理が揃うまで時間が掛かってまずいです。こう言ってくれてるのですから提案を受けるのもいいと思いますよ?」
関靖の言葉に公孫賛は何やら腕を組んで唸り始めた。きっとその程度ではダメだと思っているんだろう。義理堅い人だ。こんな人がずっと太守でいてくれるならこの地の民は幸せだろうに。
そこで一つの妥協案が頭に浮かぶ。俺には決まった宿も無いし、金はある程度持っている事を確認したが、それでも些か不安が
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