第一話 友を得る白馬
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を置いていった。
並べ立てられた酒はどれも俺が呑み慣れたモノでは無い。
とりあえず始めはビールできゅっと一杯、と行きたい所なのだがこんな時代にあるはずも無く、どれから飲もうかと思案し始める。
「ささっ、まずは一献」
「あ、ありがとうございます」
すっと酒瓶を差し出され、思わず自分の前に置いてくれた杯を手に取って注いで貰った。色から察するに老酒だろう。
なみなみと注ぎ終わると同時に、
「クク、徐晃殿……酒の席なのですからその堅苦しい話し方を直して頂けると私も嬉しい」
酒を飲むというのに変わらない俺の話し方に苦笑を漏らした。
正直な所、俺も敬語を使い続ける事に何処か肩が凝っていた為に、ありがたく彼女の申し出を受ける事にした。
「ならお言葉に甘えよう。おっと、趙雲殿もどうぞ」
「かたじけない。酒はお強い方ですかな?」
「まあ……普通、くらいだろうよ。ってか趙雲殿も話し方を――」
「お心遣い感謝致す。しかしお構いなく」
「了解。じゃあ、とりあえず美人さんとの酒宴に」
彼女の分も注ぎ終わり、すっと杯を掲げた俺に、趙雲はにやりと笑って己が杯を合わせた。
「中々お目が高い。では、新たな出会いに」
ゆっくりと、されども一息で俺達は一杯目を飲み干した。
きつい酒が喉を焼き、一寸だけ眉を顰めるも大きく、ほうと熱い息を吐く。うん、美味い。
いきなり知らない世界に落とされて、右も左も分からない状態ではあったが運良く有名な人物達と出会えた事が嬉しくて、そして酒はどの時代でも変わらないモノだから、俺の心は少しばかり安堵していた。
――趙雲といえば三国志の武将の中でもビッグネームだ。仲良くなっておいて損は無いだろう。
とくとくと二人で酒を注ぎ合って二杯目。杯を少し傾けて、趙雲は俺をじっと見やる。
見れば見る程に美しい女性に見つめられ、胸は大きく鼓動を叩き始めた。そのままふいと視線を逸らし、恥ずかしさを誤魔化そうと二杯目を一気に流し込んだ。
そんな俺の様子を見てか、趙雲は楽しそうにまた喉を鳴らし同じように二杯目を飲み干した。
「趙雲殿は何時からここに?」
「半月ほど前になります。その前はあなたと同じように根無し草の身で、路銀が尽きたので客将として働こうかと思いまして」
「客将ねぇ。賊討伐とか、兵の調練とかそういうのが仕事なのか?」
「街の警邏をして民を守る事も含まれます。幸い、此処は伯珪殿のおかげか治安は良いので、昼間も安心して酒を嗜めるのが嬉しい所」
「……まあ、しっかりしてそうな趙雲殿の事だ。唇を濡らす程度なら問題は無いんだろうな」
自分の世界なら、酒を飲んで仕事をするなど考えられないが、とはさすがに言わない。酔っぱらわなければ酒を引っ掛ける程度、許され
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