第一話 友を得る白馬
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勘違いしてしまったのは彼女なので何も言えず、趙雲を厳しく見据えて口を開いた。
「星、今日じゃなくてもいいでしょう? 幾日か滞在していくようなのでまだまだ機会はあります。今は私達も残していた仕事があるので、代わりに話相手をして貰えたら助かります」
「おお、そうして貰えると私も嬉しい。食事までは城の酒を幾つか出すように言っておくけど……どうだ?」
「ほう、武人なれど刃では無く言葉を先に交わせという事ですな? 語る為の酒まで出して頂けるのなら……コレはまた後日という事で」
「ありがとうございます」
槍を下げた星を見て、ほっと息を付いて礼を零した秋斗に、牡丹は苦々しげにジト目で睨みつけた。
「あの時は悪かったです」
「貸し借り無しだからもう謝らないでいい。近辺の情報と幾日か分の宿も食事も手に入るなら俺としては万々歳だからさ」
重ねて謝罪を行われて、苦笑気味に秋斗が言うと、牡丹はすぐさま切り替わった。
「ふん、なら部屋の用意をさせておきますから星――趙雲の部屋に行っておいてください」
「こら牡丹――」
「では徐晃殿、二人は仕事で忙しいらしいので私の部屋へ参りましょう」
ツンケンした牡丹の言葉を聞いて、白蓮が少し不機嫌になり咎めようとしたが、星の割り込みによって止められた。
――目障りだから早く行けってか。当たり前だが、どうやら関靖の俺に対する心象は下がってしまったらしい。元から高くなりそうも無いけど、これで貸しは減ったからいい。
自分が行った手段を思い返して少しばかり心が重くなるも、勘違いからの貸しを減らせたので心の中で一人ごちた。
「公孫賛様、また後程。此度のお心遣い、感謝いたします」
「徐晃も気を使いすぎなくていいぞ。ここではゆったりと気を落ち着けてくれ。じゃあ時間が来たら使いをやるから、また後でな」
振り返り、促されるままに星の後を着いて行く秋斗を見送って、その背が見えなくなってから白蓮は牡丹の頭を軽く叩いた。
「痛っ……」
「バカ! お前はもうちょっと気を使え! もしかしたらウチに所属してくれるかもしれないんだぞ?」
「確かにあの男は私よりも強いですけど……なんかむかつくんです」
「むかつくからって態度に出すな。結構いいやつだと思うけどな。ほら、仕事に向かうぞ」
ゆっくりと歩みを進め始める白蓮に、ててっと駆けて後ろを着いて行く牡丹は小さく鼻を鳴らして……聞こえないようにボソリと呟いた。
「……だって星みたいに幾分か仲良くなってからここを出て行くなら、白蓮様が哀しむじゃないですか」
†††
何を話すでもなく趙雲の部屋に付いて直ぐ、客人なのですから座ってくれと言われて椅子に腰かけると、遅れて訪れた侍女が部屋の机の上に次々と酒
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