第一話 友を得る白馬
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ぁ」
無意識にポロリと本音が零れてしまった。
――しまった。無礼な発言しちまった。
何か言い訳を紡ごうと頭を回すも答えは出ず。そんな中、茫然と俺を見つめる公孫賛はなんとも言えない表情に変わって……ふいと顔を逸らした。
「……よ、良かったら……その、しばらく滞在していかないか? 私の元には何人かの客分がいるし、その者達と話もしてみたらいいと思う」
ポリポリと頬を指で掻きながら、チラとこちらを期待の眼差しで見つめる彼女は、駆け引きのようなモノがあまり得意ではないようだった。
俺が旅人と言った事で気遣ってくれているのもあるだろう。その甘さ……いや、優しさと言うべきモノは俺の心にジワリと浸透していく。
「ま、まあとりあえず城に向かおう! ほら、街中でこんな話もなんだし! 牡丹もそろそろ正気に戻れ!」
「やん、ダメです白蓮様……さすがに――はっ! ……白蓮様が服を着てます」
「バカか! あたり前だろう!?」
「そんなぁ、夢だったなんて……」
両頬に手を当て、顔を赤らめていやいやと首を振っていた関靖は公孫賛に背中を叩かれ、ハッとして首を回して状況を確認し、どうやら妄想の世界から抜け出す事に成功したようだった。
俺は苦笑を一つ零し、背筋を伸ばして歩き始めた公孫賛の後に着いて行った。
他にいる客分とはどんな人かと思いを馳せながら。
†††
白蓮は少し後悔していた。
本当の所、直ぐにでもその男に自分の元で働かないかと言いたかったのだ。部下の牡丹を相手取っても問題の無い武、少しだけ話した事で分かる回りの悪くない頭脳、人への気遣いも十分、何より……自分に仕えられたら……等と言われるとは夢にも思わなくて。
武も智も何も見せていない状態、仕えたいと言われたのが人柄のみでしか判断のしようが無い状況であった為に、白蓮の心には嬉しさが込み上げていた。
だからこそ……他の者と話させる事を勧めた。
現在彼女の元にいる客分達の内、一人以外は残ってくれそうもなく、その一人でさえその者達に着いて行くかもしれないと薄々感じている。
親と親交の深かった部下達からも普通だと言われ続けて生きた白蓮にとって、もしかしたらこいつも……と感じてしまうのも詮無きことであった。
優秀な部下が一人でも多く欲しいのは間違いない。しかし白蓮は他人の自由を自身のわがままで束縛する事をしたくなかった。
否、それさえもわがままを隠すため、上辺だけ自身を納得させる理由であるとも気付いている。心の底の深い部分には他者からの承認欲求が強く居座っており、有能な人材の方から自分に仕えたいと言ってほしい、と彼女は自身の本心を理解していた。
自身の浅はかな欲を見つながら城の廊下を進むこと幾分、彼女達の目に一人の客
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