第一話 友を得る白馬
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た。
――あくまでこの酒宴の主催は私、ということか。
一つ目を瞑って了承の意を伝え、私は杯を掲げた。合わせて皆もそれぞれに杯を掲げてくれる。
「まずはありがとう、と二人に伝えたい。手料理を用意してくれるなんて思わなかったから嬉しく思う。そしてすまない。正直な所、先に出来上がってると思ってた」
子龍はそれを聞いて、徐晃と目くばせをしていた。言った通りでしょうというように。
謝った手前、お前は普段から酒を飲み過ぎだ……とは突っ込む事が出来ず、少しの怒りを込めて藪睨みしつつ先を続ける。
「こんなおいしそうなモノを準備してくれて、酒も我慢しててくれたなら……もう固い言葉は抜きとしよう。乾杯っ」
四人で合わせた杯。グイと全員で一息に飲み干した。
きつい酒が身体に沁み入り、思わず熱い吐息が漏れた。
そういえば、ここ最近は酒を飲むなんて事もしてなかった気がする。明日の仕事の事を考えると頭が重いが、少しくらい羽目を外して飲みたいと思ってる自分が居た。
「酒宴を始めて直ぐでなんですが、公孫賛様に一つ尋ねておきたい事があります」
二杯目を注ぎながら、徐晃が私に言葉を掛けた。その瞳はこの部屋に来る前とは違い、何処か意思の強さを感じられるモノだった。
「俺はまだ人を殺した事もありませんが……客将として此処に置いて頂く、というのは出来ますか?」
客将――と聞くと少しばかり気が重くなる。
おいそれと正規で入ってくれる有能なモノはやはり少ない。それは私の魅力が足りないという事。私に仕えられたら、なんて言ってくれたから期待してたけど……結局徐晃も私よりも優秀な他のモノの事を知ったら何処かへと行ってしまうんだろう。
先の事を考えると自然と私の肩は落ちた。自分が不甲斐無くて、周りが羨ましくて、そして……誰かに認められたいと心が痛くて。
「人材登用は私に任されているので個別に意見を言わせて貰います。私達の兵だって人を殺した事が無いモノは多いです。そこを気にしての客将申請だというなら正規として入ったらどうですか? 勿論、私や白蓮様にしばらく着いて回って、ある程度の経験は積んでもらいますけど」
そんな私を見てか、横から牡丹が割って入った。
徐晃がどんな答えを返すのか、私は気になって仕方なくて、顔を上げてじっと見やった。
黒い瞳が私を射抜く。そこには決意と怯えが渦巻いていた。
「俺は今日知り合ったばかりの人に軽々しく仕える事は出来ない。公孫賛殿は確かに優しくて人柄も良く、仕事熱心で真面目な素晴らしい人だ。だけど……人を殺せと命じられるに足る理由が欲しい」
先ほどまでの敬語では無く、子龍に話していたように語りかけてくる徐晃。
無礼ではあっても、その態度の方が私にとってはありが
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