第一話 友を得る白馬
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ましたぞ。ささ、中へどうぞ」
少しばかり意地の悪い笑みを浮かべた星が出迎えてくれて、中へと促され牡丹を引き連れて素直に入り……私達は驚愕する事になった。
「な、なんだこれ」
数多の蝋燭で照らされた机の上には見た事の無い料理が幾つも並んでいた。
こんな料理、城に作れる奴はいない。
「酒の席にはつまむモノが必要でしょうし、公孫賛様は夕食もまだかと思いまして。厨房の使用許可は趙雲殿に依頼しました。……あ、食材等は俺が買いましたので」
「これらは徐晃が料理したのか!?」
「まあ簡単なモノですが。ハンバーグ、卵焼き、ポテトサラダ、塩焼きそば、焼き串盛り合わせ……あー、他に気になったモノは紹介しますね」
聞いたことの無い料理の名前に疑問が浮かぶも、徐晃が旅人であったからそこで教わったモノなのだろうと納得が行った。
牡丹は私の横で口をあんぐりと開けていた。歓待する側が歓待されるなど、私達の予測を超えていたのだから仕方ないか。
しかし、こちらに非があったからと食事に誘ったのに、これでは何も返す事が出来ないので意味が無い。
「少し冷めてしまいましたが味は私が保障致します」
「はぁ、趙雲殿はつまみ食いしすぎだ。せっかく綺麗に並べて見た目も良くしておいたのに」
「ふふ、出来立てが一番おいしいのは料理の常でしょう? 対価として街まで食材を買いに行かされるとは思いませなんだが」
「そこはごめんな。でもこれで酒も進むし、驚く顔も見られた。クク、中々楽しかったろう? 此処からは酒があるからもっと楽しいだろうよ」
「違いない。ああ、勝負は忘れてないでしょうな?」
「当たり前だ。誰かさんが明日二日酔いになっても俺は知らんがな」
「おや、始める前から負けを認めるとは殊勝なお方だ」
「本格的に酒を飲む前から酔ってるのか昇龍殿は」
私達が何も言えずにいたら子龍と徐晃は楽しそうに笑いあっていた。
少し、羨ましい。今日知り合ったばかりだというのに、心許し合って笑いあう友のような二人が。いや、もう既にお互いの事を分かり合ったのだろう。きっと二人は似通った部分があって心の距離が縮まった、だからこんな状態になっているんだ。
異質な空気に流されそうになるも、フルフルと頭を振って自分の心を引き締めた。私がこの城の主なんだ。それらしい姿でいなくちゃダメだ。
机にゆっくりと近付いて、徐晃の前、子龍の左の席に腰かけた。牡丹も直ぐに私の左の席に座った。
それほど大きくない机を多人数で囲むというのは……昔、家族と食事をしていた頃を私に思い出させて、暖かい気持ちにさせてくれた。
涼しげな笑みに変わった徐晃が私の杯に、嬉しそうに微笑む子龍が牡丹の杯に酒を注いでいく。四人の杯が満たされた所で……じっと、徐晃と子龍が私を見つめてき
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