第一話 友を得る白馬
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残る。それに彼女達にはこの後仕事があるというのなら時間制限があるということ。
未だにこの世界の情報が少なく、どう行動するかも決まっていない。好きに動いていいとしてもまず情報を集めなければ何も出来ない。それに何をすれば世界が変わるのか皆目見当もつかないが、せめて初めて知り合った人とは親しくしておきたいのもある。
「御心苦しいのでしたら……不足分はこの街や付近の街の情報、というのは如何でしょう?」
「情報?」
「はい。この街は初めて来たので事前情報があった方が見て回りやすいですし、続けて旅をするには付近の情報があった方が身の安全を確保出来ますから」
彼女の裁量に一任すれば納得する妥協点を見極めてくれるだろう。
俺の発言を受けて、公孫賛はじっと関靖を見やる。部下の見解を聞いてみたい、と言った所だろう。
二人が見つめ合う事幾分、関靖は……何故か目を瞑りながら蕩けた表情になり、何やら語り出した。
「ああ……白蓮様が見てくれてます今日一日二人で視察に行っているだけでも幸せの絶頂だったというのに私の事を見つめてくれるなんてどれだけ最高の日なんでしょうきっとこれは天から私へのご褒美ですこんな真っ黒ででかくて邪魔な男がいなければ直ぐにでも胸の内に溢れる愛を伝える事も出来るのにそうですこれから私は白蓮様と密な時間を過ごさなければいけないのですからこんな奴に構っている暇などありません無視するのが一番ですねそうしましょうそうと決まれば迅速な行動こそが求められま――」
唖然。全く聞き取る事が出来ずに、俺はただ関靖を見つめるだけしか出来なかった。
大きくため息を吐いた公孫賛は関靖を放置しつつ申し訳なさそうに俺を見た。
「すまない。こいつは放っておいてくれると助かる」
「え、ええ。変わった子なんですね」
「しょっちゅうこうなるんだ。これさえなければ一番優秀な部下なんだけどなぁ」
確かにさっきも暴走していたし、これの頻度が多いならさぞ気苦労も多い事だろうに。
しょんぼりと肩を落とした公孫賛は俺が少しだけ同情の眼差しを向けると一つ咳払いをして表情を引き締めた。
「では徐晃、私の城に招待させてくれ。城の外に居たって事は宿も決まってないだろうし、仕事が一段落してからになるがこの街について私から話そう。食事もそこでするということで手を打ってくれないか?」
「お心遣い、感謝致します」
「気にしないでくれ。元々が私の部下の無礼なんだから。私の方こそ礼を言わせてくれ。ありがとう」
重ねて礼を返して来る彼女は間違いなく素晴らしい人格者。こんな人が漢の中央で重役を担っていればこの時代の治世はもっと良くなって乱世なんか起こらなかっただろう。
そんな事を考えて、俺の口から――
「あなたのような人に仕えられたらいいな
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