第34局
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あるため非常にかさ張り、場所をとる。それに、昔の棋譜を探すのも大変だったりするので、そろそろ整理しようと考えていたのだ。夏休みだし、いい機会だと。
そう話していたヒカルの肩を、緒方とアキラががっしりと掴んだ。
「おい。そんなものがあるのに今まで黙っているとはいったいどういうことだ!」
「そうだ進藤っ!ずるいじゃないか、隠してるなんてっ!」
ヒカルはぎょっとして後ずさろうとしたが、二人の手はガッチリと肩を掴んで離れない。
「うおっ!緒方さん!塔矢も、なんか二人とも目が据わってるっ!いや、ずるいって、別に隠してたわけじゃないって!」
「だったらすぐに出さないか!ブログでも作って棋譜を全部見れるようにしろ!」
「いや、そんな無茶言わないでよ緒方さん!全部ってすごい数なんだから!それにおれパソコンあんまり詳しくないから、とりあえず夏休みにパソコンの勉強から始めるんだから!それに、棋譜を整理するだけなんだけどっ!」
「そんなの待てるわけないだろうがっ!」
「進藤っ!saiと君の対局を是非見たいんだ!?」
そんな二人を押さえ込んだのは奈瀬だ。
「ああもう!緒方さんも塔矢君も落ち着いてっ!今はヒカル君は私と碁を打つの!邪魔しないでっ!」
「…すまん」
「…ごめんなさい」
「もうほんとに男の人ってすぐ見境がなくなるんだから…。はい、ヒカル君、打つよ!」
「…ああ。おねがいします」
「おねがいします!」
奈瀬の剣幕に思わず謝る緒方とアキラ。もう奈瀬もすっかり勉強会の空気になじんでいた。たとえ相手が緒方であろうとも、ヒカルとの貴重な対局機会を減らすわけにはいかないのだ。遠慮ばかりはしていられなかった。
−取りあえずおさまりましたね、ヒカル。
−…あー、このまま終わるとは思えないんだけどなぁ…。
どうやらヒカルにとって、過酷な夏休みとなりそうな気配だった。あかりと佐為は顔を見合わせて、思わず溜息を吐いた。
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