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星の輝き
第34局
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本君、らしくないよ」

 岸本はうなだれていた。

−なるほど、このものが手を引いていたのですか。
−ま、そうみたいだな。

「岸本さん、知ってる?碁って一人じゃ打てないんだよ」
「…あたりまえだろう」
「そう、あたりまえさ。二人で打つものだからね。そして、勝つのは一人。負けるのも一人。分かる?負ける人がいるから碁が成立するんだよ。負ける人がいるのはごく当たり前のことなんだ。プロの棋士でも、どんなに偉い人でもそれは同じ。…当然どこかの部長様でもね」

「…進藤」
「負けることを嫌がっていたら、駄目なのさ。そりゃ、自分より弱い相手だけと打っていたら負けないさ。でもそれじゃあ絶対に強くなんてなれない。まわりの視線が気になるなんて、気にする方向が間違ってるのさ。碁打ちとして成長したいのなら、負ける事を避けちゃいけないんだよ。塔矢を見てたら分かるだろう?あいつは暇があったら俺に対局を申し込んでくるぜ」

「……」
「進藤、何度も囲碁部が迷惑かけてすまないね。岸本君は私が後できっちり絞っておくから」
 うなだれる岸本の肩に手をかけながら、日高はヒカルに告げた。

「ま、別にたいした事されたわけじゃないんで」
「…あんたって、見かけによらず随分大人っぽいのね。まったくどっちが年上なんだか」
−うんうん。ホントにしっかりしてきましたよね、ヒカルは。
「いや、別にそんなことないですよ」
 照れるヒカルの様子を見て、日高はいたずらっぽく笑う。

「囲碁部の女子たちで結構噂になってるのよ。囲碁部に乗り込んできたあんた、結構かっこよかったってね!いつでも遊びに来なさい。少なくとも女子は大歓迎するわよ!」
「ハハハハハ…」
−おー、モテモテですね、ヒカル!
−……いや、ほっといてくれ。







 夏休み前最後の塔矢家での勉強会。今日はプロは緒方さんだけの参加だった。

「さ、じゃあ次の対局しようぜ。奈瀬、打とうか」
「うん、おねがい!あ、そうだヒカル君、夏休みに入ったら勉強会の回数増やすことはできないかな?もう、プロ試験目前だしさ!」
「んー…、まぁ、今より少しなら構わないかな…。ちょっとやりたいこともあるし、毎日とかは無理だよ?」
「うわーっ、ありがとうっ!」
「進藤、ここもいつでも構わないからな。でも、やりたいことってなんだい?」
「いや、せっかくパソコンもあるから、佐為との今までの対局の棋譜をまとめたりしたいなって思ってるんだ」
「あ、ヒカルの本棚、佐為との棋譜がかなりたまってるもんねぇ。パソコンに整理するんだ?」
「ああ。夏休みなら時間も取れるしさ。紙だとかさ張るばっかりだし」

 実はヒカル、佐為との対局はすべて棋譜として記録を残していた。ただ、あかりの言うようにかなりの数が
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