禁断の果実編
第60話 偽りの月
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かを見たい。それこそが彼女の戦う動機なのだから。
(いけないわね。今は仕事中なんだから)
「斬月」はバロンと弓で切り結び、弾き合って下がった。
「何でだよ貴虎……本気で俺たちを……」
紘汰が呟いた。「斬月」はマスクの下でほくそ笑んだ。
そう、葛葉紘汰にそう思わせることこそ、今回の目的。
室井咲、呉島碧沙と共に逃亡した貴虎が、葛葉紘汰と接触する前に、彼らの関係に亀裂を入れておく。さすれば両者の、特に葛葉紘汰の性格から、彼らの共闘関係は簡単に決裂する。そうして孤立無援となった彼らを一人ずつ仕留めればいい。
バロンが踏み込む。「斬月」も前へ出た。弓による必殺を期した一撃が炸裂する――
「っ……ゃめろおおおお!!」
《 カチドキアームズ いざ出陣 エイ・エイ・オーッ 》
変身時特有のオレンジの光粒子を放ちながら、葛葉紘汰が「斬月」とバロンの間に飛び込んだ。
「斬月」とバロンの一撃は、鎧武の両手のカチドキ旗によって止められた。二人して弾き飛ばされる。
だがその優位の状態から、鎧武はカチドキ旗を投げ捨て、地団太を踏んだ。
『貴虎、何でだ! 分かってくれたんじゃなかったのかよ!』
今になってさえそれを問うのか。今までは笑いを堪えていた湊も、ここまでの愚直さに少しずつ苛立ちを覚え始めていた。
(これは確かに、光実君やシドが苛立ってもしょうがない類の人間ね。――付き合いきれない)
「斬月」はロックシードをバックルから外し、弓にロックした。
《 ロックオン メロンエナジー 》
頭上にエネルギーを撓めたソニックアローを放つ。翡翠と金のソニックアローは空中の一点で爆ぜ、矢の雨を鎧武とバロンに降らせた。
その隙を突き、「斬月」は廃工場から速やかに撤退した。
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