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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
18.宴の前の再開
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すことが不可能だ。
『まぁ、彩斗くん。聞こえてるだろうから要件だけ伝えるね。明日、あたしと美鈴ちゃんで絃神島に行くから迎えに来てよね♪ わかった? じゃあね』
「おまえ、ちょ、ま──!」
──切れた。
「……マジかよ」
空を見上げながら力なく彩斗は呟いた。
絃神島中央空港は、旅客でごった返していた。
十月最後の金曜日である今日は、波朧院フェスタの前夜祭が行われることになっている。夕方から始まるイベントに備えて、島外から観光客が押し寄せている。
「ギリギリ間に合った……か」
「そ、そうだな」
荒い息を吐く二人の吸血鬼。
時刻は午前九時を、十五分ほど過ぎたところだ。
「本当にもう! 古城君と彩斗君の準備が遅いから、あたしたちまで汗だくだよ。せっかくオシャレな服を選んできたのに。どうしてこんな日に寝坊するかな。信じられない、ホントあり得ない」
「悪かったよ! 昨日の夜の騒ぎで目が冴えて眠れなかったんだよ!」
「夏音ちゃんが部屋に来たこと思い出して興奮してたんでしょ。恥ずかしいなあもう!」
「う……ぐ……!」
「古城君……その話詳しく聞かせてもらえるとありがてぇなぁ?」
「お、落ち着け、彩斗……冷静になれ」
「すみませんでした、彩斗さん。私のせいでした。お兄さんのせいでは」
夏音が頭を下げる。
「い、いや……そ、その……俺も別に本気で怒ってるわけじゃねぇから」
「そうですか、よかったでした」
彼女の着ている飾りっ気のないグレーのコットンドレス。しかし華やかな銀髪が、むしろ地味な服装のせいで目立ってしまっている。
「いや、叶瀬が悪いわけじゃないから気にするな」
「……でも、わたしたちまで一緒に来てよかったんでしょうか。迷惑なんじゃ……」
困惑気味の口調で訊いてきたのは雪菜だった。
彼女の服は、ポロワンピースにニーソックス。もちろん背中には、いつものギターケースがある。
「遠慮しすぎだよ、雪菜。古城君と彩斗君が断るわけないでしょ。ね! 彩斗君、古城君!」
友妃はいつもの無邪気な表情で彩斗と古城に詰め寄る。
彼女の着ているチェックのカーディガン。ショートのデニムパンツから伸びる綺麗な足。もちろん雪菜同様にギターケースを背負っている。
「いいのいいの。雪菜ちゃんたちも波朧院フェスタは初めてなんでしょ。一緒に回ったほうが愉しいよ。一人案内するのも四人まとめて案内するのも手間は変わんないし。ね、古城君」
遠慮がちな友人たちの方を抱きながら、凪沙が朗らかな口調で言う。
「凪沙が面倒見るぶんには、俺は文句はないけどな。ユウマもいいって言ってんだろ」
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