暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
18.宴の前の再開
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ョロする浅葱。

「ええええぇーっ!?」




夏音(カノ)ちゃん、退院おめでとうー」

 クラッカーを鳴らしながら暁凪沙が叫んだ。

「あ、あの」

 紙吹雪をあちこちにくっつけたまま、夏音が恐縮した表情で周囲を見回す。

「すみませんでした、皆さん……私なんかのためにこんな」

 七〇四号室。暁家で今夜、夏音の退院祝いのパーティーを行っている。

「なに言ってんの。今日は夏音ちゃんが主役なんだから。はい、座って座って。食べて食べて。このサラダ、自信作なんだ。クルミとピーナッツとゴマを使った自家製ドレッシングだよ。こっちは棚屋の絃神コロッケ・デラックス。そっちが凪沙特製レッドホットチリビーンズ・グランドフィナーレ。もうすぐハイブリッドパスタも茹で上がるから」

「あ、ありがとう」

 凪沙の勢いにぎこちなく夏音が微笑んだ。そんな夏音の隣に厚かましく座っていた矢瀬が、料理に箸を伸ばす。

「おー、美味いなこれ。さすがは凪沙ちゃん。また腕を上げたんじゃないか」

「ほんとね。古城の妹にしとくのはもったいないわ」

 冷静スープを口に運びながら、浅葱が幸せそうに頬に手を当てた。

「確かにまた腕上げたよな。けど、このドレッシングもう少し風味を加えるともっと美味しくなると思うぞ」

「それだ。凪沙もなにか足りないと思ってたんだよね」

「これでも美味しいんだからいいじゃない別に」

 浅葱が彩斗に少し、呆れた目を向ける。

「まぁそうだけど。凪沙の料理が美味くなるならそれに越したことねぇだろ」

 彩斗は、浅葱に突っ込まれて少し不満そうな表情をしながら料理に箸を伸ばす。
 そしてそれを口に運び、味わいながらあたりを見回す。
 矢瀬と浅葱は、料理を食べながらリビングの隅にいる古城をいじっている。凪沙は大食いの浅葱の皿に次々と新しい料理をよそっていく。雪菜と友妃は、久しぶりにあって色々なことを楽しそうに話している。倫の姿は見当たらないが、どこかにいるのだろう。夏音はまだ恐縮そうに料理を食べている。
 朝も思ったがこれが普通の平和なのだ。
 獅子王機関も第四真祖も神意の暁(オリスブラッド)も関係なく暮らせるこんな平和な日常が彩斗の望んだ日常だった。
 彩斗は不意に立ち上がる。

「彩斗君、どこ行くの?」

 彩斗の行動にいち早く反応したのは友妃だった。

「ちょっと夜風にあたりに行こうと思っただけ」

「なにカッコつけてるのよ、あんたは」

「うるせぇな、浅葱。オメェはそのぐらいにしとかないと腹の防御力が増すぞ」

 浅葱の怒声を背に彩斗は部屋から立ち去った。




 常夏の絃神島の夜の気候は、過ごしやすいとまではいわないが涼しい。

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