第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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士郎とデルフリンガーが何か話しているが、ルイズの耳にその内容が届くことはなかった。ただ、自身おの鼓動がやけに大きく響くのを感じながら、“始祖の祈祷書”を読みふける。
『これを読みし者は、我の行いと理想と目標を受け継ぐ者なり。またそのための力を担いし者なり。“虚無”を扱うものは心せよ。志半ばで倒れし我とその同胞のため、異教に奪われし“聖地”を取り戻すべく努力せよ。“虚無”は強力なり。また、その詠唱は永きにわたり、多大な精神力を消耗する。詠唱者は注意せよ。時として“虚無”はその強力により命を削る。したがって我はこの書の読み手を選ぶ。たとえ資格なきものが指輪を嵌めても、この書は開かれぬ。選ばれし読み手は“四の系統”の指輪を嵌めよ。されば、この書は開かれん。
ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェ―・ヴァルトリ
以下に、我が扱いし“虚無”の呪文を記す。
初歩の初歩の初歩。“エクスプロージョン”』
そのあとに古代語の呪文が続いていた。
読み終わったルイズは呆然と呟く。
「ねえ、始祖ブリミル。あんたヌケてんじゃないの? この指輪がなくっちゃ“始祖の祈祷書”は読めないんでしょ? 注意書きまで隠してたら注意書きの意味ないじゃないの……」
つい先程まであったブリミルへ対する畏敬の念が、ガラガラと音を立てながら崩れていくのを感じていたルイズは、そこで気付いた。
『読み手を選びし』と文句がある。ということは……。
文字が読めるということは、わたしは読み手なのか?
初歩の初歩の初歩の呪文が“エクスプロージョン”。自分が呪文を唱えると、いつも爆発が起きることと何か関係があるのでは?
自分が起こす爆発を、誰も説明することが出来なかったのは、あの爆発が“虚無”に関わることだからではないからか。
なら、自分はやはり読み手なのかもしれない。
今思えば、ワルドが言っていたことはこれの事だったのことかもしれない。
……だったら、やる……っ!
虚無の使い手だったら…………シロウの力になれるっ!!
ある決意を決めたルイズが、士郎に顔を向けると、変わらず冷徹なまでに冷静な士郎の瞳と目があった。
「ルイズ、あのデカ物を落とす。一旦下に降りるぞ」
「えっ」
士郎の“デカ物”という言葉に、ルイズが風防の向こうに顔を向けると、そこに威容を誇る“レキシントン”号を見付け、驚愕の表情を見せた。
かなり離れた距離であるにもかかわらず、その大きさを理解出来たルイズは、慌てて士郎に顔を向ける。
「な、何言っているのよ士郎っ! あんな大きなの無理よっ!!」
「無理ではない」
「なっ! ……一
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