第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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の震えが大きくなるルイズに、士郎は戸惑いながら声をかけると、グッと士郎の身体を抱きしめたルイズが、ボロボロと涙を零す顔を、士郎に向け勢い良くあげた。
「連れて行ってよシロウ。わたしに……あなたを助けさせて」
「る、ルイズ……」
必死に訴えかけてくるルイズに、士郎は深いため息吐くと、ルイズを持ち上げコクピットの中に入れた。
「はぁ……ここで待っていろ」
「し、シロウ? えっと……」
コクピットの中からルイズが戸惑いながら士郎を見下ろすと、士郎は乱暴にルイズの頭を撫で繰り回した。
「わっ、わぷっ! な、何すんのよ!」
「分かった分かった……たくっ……連れて行くからそこで待っていろ、ガソリンを持ってくる」
「がそれん? 何それ……って、連れて行ってくれるの! 本当に!」
コクピットから身を乗り出すルイズの両肩を押さえつけ、士郎はコクピットの中にルイズを押し戻す。
「ああ、連れて行くから待っていろ」
「絶対よ」
「ああ」
後ろ向きに手を上げルイズに応え、ゼロ戦から去って行く士郎の後ろ姿を確認すると、ルイズは顔を俯かせ小さくぼそりと呟いた。
「シロウの……ばーか」
士郎はコルベール眠りこけているコルベールの肩を揺すり起こした。
「ふあ? あれシロウくんじゃにゃいですか? どうしました?」
「ガソリンは出来ましたか?」
「がじょりん? ああ、がそりんですか? それなら君の言った量は出来ているよ。ほら、あそこ」
寝ぼけ眼をこすりながら、コルベールが指差す先の部屋の隅には、ガソリンが入っていると思われる樽が置かれていた。
「飛ぶならもう少し待ってくれんかね? まだ眠くて眠くて……」
「すみませんが、それでは間に合わないので」
「間に合わない?」
「ええ、ですので今から離陸します。手伝ってもらっていいですかコルベール先生?」
「へ? ちょっ、ちょっと待てくださいシロうわっ」
コルベールが不思議な顔をしている。どうやらコルベールは未だ戦争が始まった事を知らないようであった。
説明してもいいが、説明する時間が惜しい。
士郎はガソリンが入った樽を右手に、コルベールを左手に抱えると、ゼロ戦に向かって走り出した。
コクピットに乗り込み、各部の計器を確認している士郎の膝には、小さな身体をさらに小さくしたルイズが乗っている。
飛行に問題がないことを確認した士郎は、事前にエンジン始動の手順を伝えていたコルベールに、エンジンの始動をさせた。
バルルルルッ! という腹を叩く様なエンジン音が鳴ると共に、プロペラが回り始める。
「シロウ……本当に飛ぶのこれ?」
不安気に士郎を見上げるルイズの頭に
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