第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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、士郎は眼下に見える光景を見ていた。タルブの草原に布陣したアルビオン軍に、トリステイン軍が突撃を敢行しているところだった。トリステイン軍の勢いは強く。数で勝る敵軍を圧倒している。
戦の勝敗がハッキリと決まったのを確認した士郎は、再び視線を地面に落ちたあとも未だ燃え盛る、“レコン・キスタ”の艦隊に移動させると、視力を強化した。
強化された視力は、燃え上がる艦隊の瓦礫の細かい傷さえも見える。燃える瓦礫の中、士郎は必死に視線を動かしている。そして……それは唐突に止まった。
士郎の強化された視線の先には……人が倒れていた。
ざっと見ただけでも数十人はいる。さらに目を凝らすと、倒れ伏す者たちの胸が動いているのが見える。
そのことに小さく安堵の息を吐いた士郎は、ルイズに視線を戻すと、頭を撫でていた手を止め、それをゆっくりと背中に移動させ。そしてゆっくりとルイズを抱きしめた。
「ありがとう……ルイズ」
日が落ち、赤く染まる森の中から、弟を連れたシエスタが、おそるおそると森の中から姿を見せた。つい先程、トリステイン軍が草原に集結したアルビオン軍をやっつけたとの噂が、森に避難していた村人の間に伝わったのだ。
アルビオン軍はトリステイン軍の突撃により潰走し、多くの将兵が投降したという話しだ。
話の通り、昼間は村を闊歩していたアルビオンの兵士達の姿は見えない。
それに、先程まで聞こえていた怒号や剣戟、爆発音が聞こえない。
草原からは黒煙が立ち上ってはいた……。と言うことは本当に戦は終わったようにも見える。
ビクビクと震えながらも森の外へと出たシエスタの耳に……今までに聞いたこともない爆音が飛び込んできた。
慌てて空を見上げたシエスタの視線の先には、シエスタにとっては見慣れた“もの”が悠々と空を舞っている。
“龍の羽衣”だ。
身体の奥から湧き上がってくる『暖かい何か』によって、青ざめ、怯え震え続けていたシエスタの顔に笑顔が浮かんでいく。
ゼロ戦をタルブの草原に着陸させた士郎は風防を開けると、村の南にある森の中から女性が、シエスタが駆けてくるのが見えた。
もたれかかるルイズを優しくパイロット席によりかかさせると、士郎はゼロ戦から降り立ち、シエスタに向かって歩き出していく。
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