第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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行き先を求め暴れだす。
ルイズは足で士郎に合図を送る。
士郎は操縦桿を倒す。
ゼロ戦が真下の“レキシントン”号目掛け急降下を始めた。
見開いた目で、ルイズはタイミングを伺っている。
“虚無”
伝説の系統。
どれほどの威力があるのか分からない……
士郎に言ったのは唯のデタラメだ……『これが』人を殺さないかどうかも分からない……
そう……そのはずだった……
―――ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・べオークン・イル……―――
長い詠唱の後、呪文が完成する。
その瞬間。理解した。
巻き込む。全ての人を。
視界に映る全てのものを、人を、自分の呪文は巻き込むと。
選択は二つ。殺すか。殺されぬか。
破壊すべきは何か……
烈風が顔を嬲る中、真っ逆さまに降下している。
目の前に広がる光景は巨艦。戦艦“レキシントン”号。
なら……狙うは……
ルイズは己の衝動に準じ、宙の一点めがけて、杖を振り下ろす。
アンリエッタは信じられない光景を目の当たりにした。今まで散々自分達に砲撃を浴びせかけていた巨艦の上空に光の球が現れたかと思うと、それはまるで小型の太陽のように光を放ち、膨れ上がった。
そして……空に浮かぶ艦隊を包み込んだ。
さらに光は膨張し、視界の全てを覆った。
音はない。
咄嗟に目を閉じたアンリエッタだが、それでも目が光で眩んだ。
痛む目をゆっくりと開くと、艦隊は炎上しながら地上に落下している光景が広がっていた。
まるで嘘の様な光景に、アンリエッタはしばし呆然としている。
辺りは恐ろしい程までの静寂に包まれていた。誰も何も言わない。ただ、目の前の光景を信じられず只々呆然としているだけだ。
そんな中、一番初めに我に返ったのは、枢機卿のマザリーニだった。彼は戦艦が遊弋していた空に、飛ぶゼロ戦を見つけると、大声で叫ぶ。
「諸君! 空を見よっ! 伝説のフェニックスの手によって敵の艦隊は滅んだっ!」
「フェニックス? 不死鳥だって?」
トリステイン軍に動揺が走る。
「その通り! あの空飛ぶ鳥を見よ! あれこそがトリステインが危機に陥った時に現れるという、伝説の不死鳥、フェニックスですぞ!」
マザリーニの声に、最初は戸惑っていた声が徐々に歓声に変わり、次第にそれは大きなうねりとなっていく。
「う、うおおおおおおおぉーッ! トリステイン万歳っ! フェニックス万歳ッ!」
視界が揺れる程の歓声が響く中、マザリーニしか聞こえない小さな声をアンリエッタが掛けた。
「枢機卿、フェニックスとは……、まことですか? 伝説のフェニックスなど、わたしは聞いたことがありませんが」
訝しげなアンリエッタの声に、マザリー
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