第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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体どうするのよ」
ルイズの否定の言葉を、士郎はさらに否定した。
あまりにもアッサリと答えた士郎に、戸惑いながらもルイズはその方法を問う。
「……ルイズは見たことがあるだろう。“偽・螺旋剣”を使う」
「“カラドボルグ”? ……っ! まさかアレっ!? た、確かにアレならあの船も落とせるかもしれないけど」
アルビオンで一度見たあの歪な矢……桁が違うあの力なら、確かにあの巨艦を落とせるかもしれない……けど。
「……いいの?」
「……何がだ?」
ルイズのあまりの真っ直ぐとした目に、士郎は一瞬気圧されたかの様に息を飲んだかと思うと、誤魔化すように聞き返す。それに対し、ルイズは士郎の膝の上で身体を反転させ、士郎の腰を足で抱くように回すと、両手で士郎の襟を握り顔を近づける。
「わたしは……知ってる」
「ぁ」
息が触れる距離まで近づいたルイズの顔は、悲しげに歪んでいた。
「士郎は……優しい……強いのに優しすぎるから……敵であっても傷付けるのは嫌なんでしょう」
「それがどうした?」
士郎の言葉に、ルイズの顔が凍った。
「え?」
「倒さなければ、もっと大勢の人が死ぬ……なら、倒すだけだ。ただそれだけのことだ。そこに俺の感情は関係ない」
「な、何言っているのよ……」
ピクリとも表情を変えず、淡々と言い放つ士郎の様子に、ルイズの口元が震える。
「だから、今からアレを落とす」
「……落として……殺すの」
「……ああ」
「……そして……シロウは後悔するのね」
「……かも、しれないな」
ルイズに士郎は顔を向けてはいない。ただ、前だけを見ている。
「……馬鹿、言わないで」
「ルイズ?」
震える声には、明確な怒りが込められていた。
士郎の襟を握る力が強くなり、ルイズはさらに士郎の顔に自身の顔を近づける。
「馬鹿言わないでシロウっ!! あなたが傷付くのを知りながら黙って見ていろって言うのっ!! 馬鹿じゃないっ! 馬鹿じゃないっ!! 馬鹿でしょっ!!」
「なッ! る、ルイズ。ちょっと待て。落ち、つ……け」
ルイズが視界を覆い、前が見えなくなった士郎は、ルイズを落ち着かせようと手を伸ばそうとしたが、そこで、ルイズが泣いていることに気付いた。
ボロボロと、大きなルイズの瞳から大粒の涙がこぼれている。
「っ……ぁ……い、やなの……シロウが傷付くのが……嫌なの……っ!! わた、しが……嫌なのっ!!」
「ルイ――」
「好きな人が傷付くを、黙って見ていられるわけないじゃないっ!!」
「え」
「あ」
時が凍った……プロペラが回る轟音さえ遠く聞こえる。コクピットの中、士郎とルイズが見つめあった状態で固まっている
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