第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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」
走り去っていく士郎に気付いたルイズは慌てて士郎を追う。
士郎は中庭にある、ゼロ戦に走り寄る。
後ろから息せき切ったルイズの声が士郎にかかる。
「どこ行くのよ!」
「タルブの村だ」
「なっ!? 何しに行くのよ!」
「決まっている。シエスタ達を助けに行く」
士郎の腰に抱きついたルイズは、必死に士郎にしがみつき、必死に士郎に訴えかける。
「ダメよっ! 戦争してるのよ! いくらあんたが強いからって、一人で行っても何も出来ないわ!」
「……かもしれない」
「ならっ!」
「だが、何か出来るかもしれない」
強い意思がこもった眼光を向けられたルイズは、気圧されたように一歩足を下げる。怯えたような顔をするルイズに気付いた士郎は、一度顔を横に振るとゼロ戦の傍に寄る。
ゼロ戦の状態を探る士郎に対し、ルイズは必死に士郎を引き止めようとする。
「死んじゃうわよっ! 王軍が向かっているんだから王軍に任せなさいよ!」
「軍隊では動きが遅い。だが、これなら短時間でタルブに着くことが出来る」
顔を向けずに答える士郎に、ルイズは顔を俯かせると、体を小刻みに震わせ始めた。
「……なっ……何で……何でシロウが行くのよ」
「……」
「行か、ないでよ……シロウっ」
「……」
顔を俯かせ、ポロポロと涙を零しながら、ルイズは士郎の外套を握り締める。
「……助けたいんだ」
外套を握り締めるルイズの手に、優しく手を置く士郎。
「え……」
「俺が行くことで誰かが助かる可能性が少しでもあるのなら、俺は行きたい」
「そんなっ―――」
「馬鹿だろ」
ルイズの言葉を止めるように、士郎の声がルイズの声に被る。
「全ては無理かもしれないが……少しでも可能性があるのなら」
ルイズの頭に手を置いて笑う士郎に、ルイズは涙で潤んだ瞳を向ける。
「だから、ルイ―――」
「―――わたしも行く」
「る、ルイズ?」
「わたしも……行くから」
ルイズを説得しようとする士郎の腰にルイズは勢い良く抱きつくと、胸に顔を押し付けながら、くぐもった声で訴える。
「止めても無駄でしょ……なら、助けを求める人を助けるシロウを……わたしが助ける」
「っな! ……何を言っているんだルイズ。そんなこと出来るわけないだろ」
「出来るもんっ……わたしシロウのご主人様だから出来るもんっ」
「で、出来るもんって……無茶を言うなよルイズ」
グリグリと士郎の胸に頭を擦りつけながらもんもん言うルイズに、士郎は呆然とした声を上げる。
「無茶言ってるのはシロウだもんっ。ならわたしも無茶を言うもん……」
「ルイズ?」
段々と声が小さくなると共に、体
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