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少年と女神の物語
第七十二話
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由を察して、そうつぶやく。
 まったく・・・どうせなら、もう少し早く来いよ。それなら俺も、ここまでやる気には成らずに済んだのに。

「で、どうするんだ武双?逃げようと思えば逃げれそうだが」
「確かに、そうだな」

 俺とリズ姉はエリカたちがスミスの登場に驚いている間に、会話を交わす。

「そうなんだけど、さっき権能を使ったせいかな。どうにも・・・戦いたくて仕方ない」

 さっきから、体が高ぶって仕方ない。
 早くまつろわぬ神と戦いたい。最源流に近いところに位置する鋼の神と戦いたい!

「そう言うわけだから、エリカ。後の運転は任せた」
「どういうことかしら?」

 スミスとの挨拶を終えたエリカにそう聞かれて、俺は。

「ちょっと戦いたいからのこる。俺は俺で戻るから、気にするな」
「・・・あなたって、普段はまともそうなのにこういう時はカンピオーネらしくなるのかしら?」
「ああ、護堂みたいに隠すつもりはない。・・・戦うときは、最初ッから楽しむ」

 そう言いながら降りて、スミスの隣に並ぶ。

「ここは久しぶりだな、と言っておこうか。神代武双よ」
「まあ、それでいいだろ。たまに中身と被るけどな、お前」

 そう言いながら二人で孫悟空に向き直る。

「くくく、神殺し二人が相手か。よかろう、ならば孫様の神通力をしっかと見せてくれよう。これより従神顕現の大法を成就させん!」

 そう孫悟空がほくそ笑んだ瞬間に、掌に二つの像が現れる。
 猪と鬼神、か・・・やっぱり、出てくるんだな。

「宝照は天地を含み、神剣は陰陽に合う!我、孫大聖は義兄弟の契りを以って、賢弟たちを顕さん。出でよ、二弟・猪剛鬣!」

 その瞬間に、猪の像が膨れ上がり、黒い甲冑をまとう巨大な神になった。

「出でよ、三弟・深沙神!」

 鬼神の像もまた投げられ、神になる。
 まさに鬼神、という出で立ちだ。

「やれやれ。ようやくもとに戻れたでござるよ」
「おひさしぶりです、大兄、二兄。察するに、身共の仕事はそやつらの始末でございますな」

 おおう、恐れていたことがあっさりと起こったよ。
 三蔵法師のお供、三柱大集合。

「さて、どうするスミス?向こうはなんか、でかくなったり竜を作ったりしてるけど」
「そうだな。とりあえず、あの竜の気でも引いてくれないか。後は、こちらに策がある」
「了解!」

 俺はスミスに向かっていた竜に向けて雷を放ち、植物を操って邪魔をする。

「で、こっからどうするんだ?」

 気付いたら豹の姿になっていたスミスに問いかけると、

「逃げる」
「・・・は?」

 信じられない回答が返ってきた。

「何故彼がこのタイミングで残りの二柱を出してきたのか、その理由に
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