12:挑発
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が際限無く上がりつつある、このリズベットの口から出る事を期待するとしよう。
「固有名《アデュラリア》。分類はツーハンドアックス。正確には斧槍と呼ばれる武器ね! 斧戦士は比較的多く居るけれど、軍以外で斧槍を使う人は珍しいわね……! そんなことより、珍しいといえばこの素材だわ! スピード系鉱石の中でも、レアで優秀な素材の《月鉱石》がベースに作られてる! ちょっ……よく見てみれば、強化プロパティは+8!? ちょっとマーブルさんっ、よくこれだけの斧を作れましたね!? 素材を揃えるのも鍛えるのも大変だったでしょう!?」
瞳を爛々と輝かせながらマシンガントークを繰り広げるリズベットが、ガバッとマーブルへと向き直る。
「そうねー。入手はともかく、鍛えた時はなかなか思う様にランダムステータスが安定しないじゃじゃ馬ちゃんだったわねー」
すっかり完全にハイになっているリズベットと、それにしれっと答えるマーブル二人の鍛冶専門家の話に、俺達はさっぱり介入できず、二人の独壇場が続く。
「ですよねっ、あたしもこの素材のオーダーが入ったときはよく手を焼いたものです! はぁ〜……鉱石メインで鍛造してあるのに、目立ち過ぎない控えめな造形。特殊能力は無いみたいだけど、素の耐久値も充分あるし、これは良い武器だわ……。ふぅ、堪能しました」
「ホントかしらっ? よかった〜、ダメ出しを覚悟してたんだけど……」
「アハハッ、まさか。どっかの過剰装飾職人に比べたら、マーブルさんは億倍センスありますよ。……でも……」
「でも?」
「……ちょっとその斧、直に持って調べていいですか?」
「もちろん。どうぞ」
リズベットは高くなったテンションのナリを潜ませ、真剣な顔で受け取った斧の柄を握り直したり、先端から先端まで見回した後、
「やっぱり……」
と不可解さを含んだ言葉を呟いた。
「うふふ、気付いたかしら?」
ニコニコと尋ねるマーブルにリズベットは頷いた。
「あ、あのさ……俺達にも分かるように説明してくれないか」
文字通り、話に置いてけぼりでただ困惑する俺達の心境を、俺がようやく代弁することに成功した。
「あんたも直に持って見てみなさい。そしたらあたしの言いたい事が大体分かると思うから」
「わ、わかった……」
リズベットは俺の胸の前へと槍斧を差し出し、そのすぐ下で俺も手を広げた。すぐにリズが手を離し、俺の手へと武器の重みがズシリと伝わってくる――
「……………は?」
――はず、なのだが。
「か、軽い……」
その斧槍は、俺の鍛えられた筋力値などとは関係なく、とんでもなく軽かった。
思わず拍子抜けしすぎて腰も抜けかけたくらいだった。
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