12:挑発
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の獲物はもう知っているんだから、対等じゃないと私は思うわ。そんなの――カッコよくないわよ?」
「!」
その途端である。
ユミルは血相を変えて、ツカツカとリズベットの前へと歩み寄った。
「えっ? あ、あたし!? ……な、なに?」
「…………ん!」
ユミルは武器を、慌てふためくリズベットへと差し出していた。
嫌々と拗ねた風に下唇を噛みながら。
「えっと……見ていい、ってこと?」
「だから………ん!!」
半ば強引にユミルはリズベットへと大きな袋を押し付けた。そして足早に元の位置へと戻っていく。それから不愉快そうに眉を吊り上げたまま、ふんすと鼻息を一つしてから腕を組み、あとの流れを彼女に任せる形をとった。
……悔しげな目尻が若干涙目気味なのは、ツッコまないでおいてやろう。
武器を手渡されたリズベットは再度ユミルをパチクリと見た後、マーブルへと目線を移し、頷きの了承を得るも、戸惑い手を動かせずにいた。
そんな彼女にマーブルは苦笑しながら、袋をひょいと取り上げて、スルスルとカバーを外し始めた。
「もう、ユミルもオーケーって言ったんだから、遠慮しないで見ちゃいなさい? 正直に感想を言ってくれるだけでいいから、私の腕前を見て確認して欲しいの」
そして姿を露わにされた武器を両手に、リズベットの目の前へと掲げてみせた。
それは……ユミルがフートを外され素顔を俺達へと晒した時と同じく、ギャップの大きいものだった。
――まずこの武器は、ユミルのような女の子が扱うにはとても不似合いな、片刃の両手斧だった。
だがパッと見、俺の知る両手斧と、この両手斧は違う点がいくつもあった。普通、斧といえば、太い木の柄に大きく無骨な鉄の大きな刃が付いた様を想像するだろう。
だが、その武器はどことなく品のある西洋風の造形をしていた。三日月状の刃を持つクレセントアクスの柄の先端に槍の付いた、いわゆる《ハルバード》と分類される斧だ。
素材は何を使っているのかは分からないが、全体が硬質な光沢のある白色を基調としている斧らしからぬ色調。どういった理由か、柄が随分と細く、ユミル自身の華奢さを彷彿とさせる。デイドの蛇矛と比べたら恐らく半分も無い柄の太さだろう。俺の片手直剣の柄の太さと変わらない、両手武器にあるまじき細さだ。刃自体も比較的小さめだが、三日月形の白刃は刃渡りが長く肉厚で、そして鋭い。その点では切れ味やパリィにも問題無い実戦用ではあるようだが……他にも挙げるべき点がまだまだある。
それは――
「あ……お、おお……? わ、わっ……こ、これは……!?」
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……それは、武器を見てから徐々に目をキラキラさせ始め、テンション
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