暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
竜使い
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ントの発生条件は完全には判明していないが、唯一、《同種のモンスターを殺しすぎていると発生しない》というのは確実と言われている。考えてみるとこれはかなり厳しい条件だ。使い魔となりうるモンスターを狙って数多く遭遇を繰り返そうとしても、通常それらのモンスターはアクティブであり、戦闘になってしまうのは避けられないからだ。

つまりビーストテイマーになろうと思ったら、対象モンスターと数多くエンカウントし、イベントが発生しなかった場合は全て逃亡しなくてはならない。その作業の煩雑さは想像に難くない。

その点、シリカは途方もなく幸運だったと言える。

シ何の予備知識もなく、気まぐれで降り立った層の、理由もなく踏み込んだ森の中で最初にエンカウントしたモンスター『フェザーリドラ』に前日買ったナッツを何気なく放ったら、それがたまたまそのモンスターの好物だったというわけだ。

種族名『フェザーリドラ』、全身をふわふわしたペールブルーの綿毛で包み、尻尾のかわりに二本の大きな尾羽を伸ばしたその小さなドラゴンは、そもそもが滅多に現れないレアモンスターだった。

テイムに成功したのはどうやらシリカが初めてだったらしく、そのドラゴンを肩に乗せてホームタウンの第八層主街区【フリーベン】に戻るとたちまち大きな話題を呼んだ。

翌日から大勢のプレイヤーがシリカの情報をもとにフェザーリドラのテイムに挑んだらしいが、成功したという話はついぞ聞かなかった。

シリカは、その小竜に《ピナ》という名前をつけた。現実世界で飼っていた猫と同じ名前だ。

使い魔モンスターは直接戦闘力はそう高くないのが常であり、ピナもその例に洩れなかったが、そのかわりに幾つかの特殊能力を持っていた。

モンスターの接近を知らせる索敵能力、少量ながら主人のHPを回復させるヒール能力など、そのどれもが貴重なものであり日々の狩りは飛躍的に楽になったのだが、何より彼女が嬉しかったのは、ピナのもたらす安らぎと温かさだった。

使い魔のAIプログラムはそれほど高度なものではない。言葉はもちろん使えないし、命令も十種ほどを解するにすぎない。

しかし、わずか十二歳でこのゲーム、閉鎖世界SAOに囚われ、不安と寂しさに押しつぶされそうになっていたシリカにとって、ピナが与えてくれた救いは筆舌に尽くしがたいものだった。

ピナというパートナーを得て、ようやくシリカの《冒険》──それはつまりこの世界で生きることそのものなわけだが──が始まったと言ってもよい。

以来一年、シリカとピナは順調に経験を積み、短剣使いとしての腕も上がって、中層クラスのプレイヤー間ではそれなりのハイレベルプレイヤーとして名前が通るまでになった。

もちろん最前線で戦うトップ剣士達にはレベル的に及ぶべくもなかったが、実際の
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