暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
竜使い
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フラグスが絶望的にそう思った時──

「ねぇ、おじさん。どーしたの?」

幼い声がかけられた。

フラグスが顔を上げると、目の前に、真っ黒なマフラーを首に巻き、真っ赤なフードコートを着た、どう見ても小学生低学年にしか見えない子供が立っていた。

「ねぇ、おじさん。どーしたの?」

聞こえなかったと思ったのか、もう一度その子供は聞いてきた。

その幼い声を聞き、フラグスの心に燻っていたものが爆発した。

それは、怒り。

メンバーを守れなかったこと、誰からも相手にされないこと、理不尽な怒りがフラグスの心の奥底に燻っていたのだ。

「うるさい!!ガキには関係のないことだ!!!」

つい怒鳴ってしまう。完全な八つ当たりだと解っているのに。

しかし、その子供はフラグスの怒声など空気のように受け流し、その場に依然として立っていた。

それどころか、その幼い顔には笑顔すらある。

「んー、でもさーこのまま何時間おじさんがこーしてよーが、誰も相手にしてくんないよ?」

正論だった。この上なく。

しかしその言葉でフラグスはかっとなる。

「うるせぇ!!ガキはとっとと──」

帰れ、と言いかけたフラグスの脳裏に、何かよぎるものがあった。

あれは──

「……黒マフラー………真っ赤なフードコート…………」

数秒間考えていたフラグスは、その答えが出た瞬間に膝から力が抜けて、石畳に尻餅をついてしまう。

「…お……お前。………《冥王》……なのか?」

フラグスの面白いほど震えた声に、赤いフードコートを着た少年は少し驚 いたように目を見張った。

その後、にっこりと笑い、天気の話でもするかのように

「うん。そーだよ」

言った。










シリカは、第三十五層フィールドダンジョン【迷いの森】、その一区画をとぼとぼと歩いていた。

肩の上に乗っている相棒が「きゅる」と心配そうに鳴く。

シリカは、アインクラッドでは珍しい《ビーストテイマー》だ。

ビーストテイマーとは、システム上で規定されたクラスやスキルの名前ではなく、通称である。

戦闘中、通常は好戦的(アクティブ)なモンスターがプレイヤーに友好的な興味を示してくるというイベントがごくまれに発生する。その機を逃さず餌を与えるなどして飼い馴らし(テイミング)に成功すると、モンスターはプレイヤーの使い魔として様々な手助けをしてくれる貴重な存在となる。

そんな幸運なプレイヤーは人々から称賛とやっかみをこめてビーストテイマーと呼ばれる。

もちろん全てのモンスターが使い魔になってくれるわけではない。可能性があるのは、ほんの一部の小動物型モンスターだけだ。

イベ
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