オリジナル/ユグドラシル内紛編
第58話 あなたのおかげ
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べる碧沙の目尻を、咲は親指でなぞって拭った。咲は、笑っていた。
「あたしのことより……これから、どうするの?」
咲が貴虎の腕から起き上がる。まだ顔色は優れないが、普通にしゃべれる程度には回復したようだ。
「まず何よりも、この“森”から出ないといけないな」
「あたし、チューリップビークルもってる。クラックあけられるよ」
「ならクラックから出て、それから光実の見舞いだ。結局、入院してすぐは行けなかったからな。その後で葛葉と会って今後の対策会議をしよう」
なりゆきとはいえ、ユグドラシル・コーポレーションから逃亡したとなった。のこのこ戻って許されるはずがない。そもそも凌馬に実権を奪われたユグドラシルに貴虎の居場所があるのか。――今は考えない。
今、貴虎がすべきは、この子供たちを無事、家に帰すことだけだ。
「え? シドさんが兄さんのかわりにって来てたけれど」
「シドの奴、よけいな真似を……」
「ま、まあまあ。それだけシドさんも光兄さんのこと気にしてくれたんじゃ」
「あいつの『気にする』『気に入る』のたぐいはタチが悪い! いいか碧沙、室井君も、奴を見かけても今後二度と声はかけるな近寄るな。お前たちのような未来ある若者が奴の毒牙にかかることは断じてあってはならん」
「「は、はぁい」」
「よし」
貴虎は満足して、つい掴んだ碧沙と咲の肩から手を離した。
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