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曹操聖女伝
曹操聖女伝第6章
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娘を殺害された董承とは比べ物にならないほど感情的だ。これを見ていた曹操は董承に食って掛かりそうになるが我慢する。
王子服・呉碩・呉子蘭・?輯などの同志一派も顔面蒼白になっている中、董承だけは事務的に淡々と言い訳をする。
「これは捏造です。董貴人殺害を正当防衛と言い張る為の―――」
遂に董承は曹操の逆鱗に触れた。
「貴様!それでも父親か!?愛娘を殺した仇が目の前にいるんだぞ!それなのに……よく此処まで淡々としていられるな!」
そして、曹操は口を滑らせ、墓まで持って行くつもりだった董貴人の死の真相を口にしてしまった。
「董貴人はな、自分の首級を差し出してまで自分の父親の暴走を止めてくれと頼んだんだぞ!お前は愛娘の死を無駄にする気か!」
そこで漸く董承が表情を変えた。だが、その顔は大事なモノを失った被害者とは程遠い……邪な加害者の顔であった。
「この期に及んで貴様に殺された者を自殺として扱うとはな。実に簒奪者らしい考えだな!」
曹操は漸く董承がここまでいとも簡単に邪凶に操られたのかが理解できた。だが、別の意味で董承への怒りが湧いた。
(身分など飾りに過ぎん。盗賊に成り下がる高官より、“義”の為に自らを斬った董貴人こそ、真の権力者ではないか)
其処へ例の奴僕がやって来て、
「帝様!曹操様の申しておる事は真にございます!」
「あ奴は誰じゃ!?」
「董承の奴僕でございます!」
そして、奴僕はとんでもない事を言い始めた。
「董承様は不届き者に操られております!そこで董貴人様が命を賭して救って欲しいと曹操に懇願致したのです!」
それを聴いた劉協は董貴人の心根を知り涙した。
だが、そこへ死んだ筈の董貴人がやって来た。
「父上、目を御覚まし下さい。この様な争いこそが漢王朝を脅かす者の本当に欲していた状況にございます」
董承以外の一同は驚きを隠せない。当然だ、吉平の証言が正しければ董貴人はもうこの世にはいない筈である。
それでも曹操を殺す事しか考えていない董承は只々曹操殺害の必要性を説くばかりであった。
「最早是非も無し!斬る!」

曹操暗殺未遂事件は実行犯が死亡してその娘が自殺と言う物悲しい結果に終わってしまった。
「董承を突き動かしたのは帝への忠誠心。元は純粋な考えの素であったが、どんな純粋な思いも邪に染まり暴走すれば……」
趙公明が弁明する。
「曹操殿は良くやとはおるでござる。悪しきのはその純粋な思ゐを逆手に取り意のままに操る外道の者にござる」
??と程cがこれに続く。
「そうだぜ!そいつさえいなければこんな事にはならなかった筈だ!」
「左様、我々が今回発見した血判状に書かれた者の中に未だに捕えておらぬ者がおりますぞ!その者こそ―――」
曹操は首を横に振りながらこう述べた。
「いや、私は民衆の事しか考えておらず
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