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曹操聖女伝
曹操聖女伝第6章
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が必死に説得する。
「この耳でハッキリ聴いたんだ!本当だ!信じてくれ!」
それでも曹操は半信半疑だ。董承がそこまで悪人とは思えないからだ。
「董承は今上帝の腹心、その様な真似をして何の得がある?」
「操られてるんだ!妙な奴が董承の部屋に突然出現して―――」
「出現?入って来たの間違いでは?」
「本当なんだ!信じてくれ!」
曹操は漸くこの事件に邪凶が絡んでいる事に気が付いた。
(よくもまあこの様な卑劣な策を)
「判った、信じよう。して、そなたらは如何いたすのだ?」
董貴人は突然、剣を取り出して自分の首に突き付ける。予想外の動きに驚き焦った曹操は、董貴人から剣を取り上げようとしたが、
「父上を頼みます」
「止せ!」
董貴人は自害してしまった。曹操は董貴人の躯の前まで来る。董貴人を見つめる曹操。その目から涙が零れ落ちる。曹操は片膝をつき、董貴人に語りかける様に、
「悪いのはそなたでもそなたの父親でもない、今回の政争に付け込んで己の欲望を満たさんとする外道と心得よ……」
曹操は董貴人を抱きかかえて立ち上がる。
「だが、董貴人という女の生き様は、この曹操が背負うべき価値がある」

その後、董承の家を強制的に捜索し血判状を発見する。そして、発見された血判状の中に気になる名前を発見した。

“劉備”

この男こそ、董白に名指しされた謎の男であり、人間に転生した魔王の可能性のある男であった。

数日後、劉協に呼び出されて出廷する曹操。
今上帝たる劉協が上座に座し、家臣達が居並ぶ。その中には董承の姿もあった。
董承が事務的な口調で曹操に質問した。
「曹操よ……そなたは董貴人を殺害したそうだな」
曹操は劉協には答えない。弁明もせず、開き直りもせず、ただ黙っているのみであった。
「答えよ曹操。何故董貴人を殺害した」
曹操は董承が憐れに思えた。愛娘がこんなにも無様な姿を晒しているのに、人間に転生した魔王そのAに操られた彼の言動からは父親特有の怒りが全く感じない。
「何故押し黙る。答えよ」
本当なら曹操が董承に斬り殺されても文句が言えない状況の筈なのに……曹操が董承一派を試す為の仮病を使った際に門番が行った事務的な返答。それと全く同じであった。
(操られているとは言え、愛娘を殺害した者が目の前にいるのに……これでは、董貴人は何の為に死んだのか解らん!)
その間、??と二郎真君と趙公明が道術を駆使して董承を正気に戻そうとしたが、反応は変わらない。相変わらず事務的な質問ばかりであった。
最早……董承が感情的になるのを待つのを諦めた曹操は、董承の家から押収した血判状をその場でばら撒いた。
それを見ていた劉協が顔面蒼白となった。
「こ、これは……何故漢王朝を支える者同士が殺し合わなければならないのだ!?」
明らかに愛
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