曹操聖女伝第6章
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散策していると、
「何だ、その楽市楽座とは?」
「うむ。許昌の町では、誰でもが自由に商売が出来、税を採られないと言う事らしい」
「え!?他国者の儂でも、商売が出来るのか?」
「そういう事さ」
「儂が前にいた所では色々と役人が五月蠅かったぞ」
「いっそのこと、引っ越したらいかがかな?」
「さっそく!」
そんなやりとりを見ていた野次馬達が大笑いしていたが、何故か董承の顔色がすぐれない。
(確かに曹操殿の言い分は民衆に受けやすい……だが……)
「これでこの町も栄える一方だ」
「ああ、何だか曹操様が帝のような気がしてきたな」
「まったくじゃ。儂はかつて洛陽に暮らしておったが、曹操様の様なありがたい方は帝の中にはいなかった。どいつもこいつも高官達の傀儡のすぎなかった」
「もう、俺達の暮らしが良くなれば、誰が帝でもいいや」
曹操の政策が民衆に受ければ受ける程、民衆の心が今上帝・劉協から離れていくのを感じる董承。
確かに董卓や李?・郭らの後ろ盾として利用される生きた伝国璽(中国の歴代王朝および皇帝に代々受け継がれてきた玉璽)でしかなかった。
それでも劉協は漢王朝の皇帝だ。尊ぶのが常識の筈だ。だが、役に立たない政治家への民衆の眼は無慈悲で非情だ。
外戚や宦官達の好き勝手に因る政治腐敗、貧民の強盗化への対応の遅れ、切っても切れない賄賂と出世との腐れ縁。歴代の後漢の歴代皇帝が築き上げてきた負の遺産が重く圧し掛かる。一度失った信頼や名声はもう取り戻せない。
(このまま……漢王朝はこのまま終わってしまうのか……)
その夜、董承の許に人間に転生した魔王そのAがやって来た。
「貴様は何者だ!?」
董承が驚くのも無理はない。何の前触れも無くいきなり出現した上に、非常に無礼で傲岸不遜である。しかも手の指が3本ずつしかないのだ。
(なんたる妖気!)
「く、曲者じゃー!」
「呼んバット来ぬよ。ナウ頃、ワイフちゃんと頑張っている頃でAろう」
最初の内は人間に転生した魔王そのAの言う事が解らなかったが、いくら待っても衛兵達がやってこないので死を覚悟する董承。
「怯えるネセサリーはナッシング。僕は君のウィッシュを叶える者だ」
「貴様……一体何が目的なのだ!?何を企んでいるのだ!?」
人間に転生した魔王そのAは苦しく微笑し、董承を見つめる。
「僕は只、曹操を許せないだけだ。漢王モーニングをマイセルフの意のままに操り、ネクスト第に権パワーを強大化させようとする曹操の狡猾さが 」
図星を言われて狼狽える董承。そう、董承が恐れていたのは其処なのだ。漢王朝が曹操に乗っ取られるのではないかと不安で一杯なのだ。曹操の本心も知らずに。
「……どうする気だ?」
あと一歩で董承は堕ちる。少なくとも人間に転生した魔王そのAに本心を見透かされている。
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