曹操聖女伝第6章
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連戦連敗なうえに呂布に先立たれた袁術は、袁紹に援軍を要請したが、子供の病気を理由に断っている。そこで仕方なく袁術自ら袁紹に自己談判しようとしたが、曹操はこれを阻止するため、徐州に朱霊(字は文博)と徐?(字は孟玉)を派遣し、袁術を捕える事に成功した。
孫策軍立会いの下、曹操は袁術に質問する。
「どうしても解らない事がある。貴方ほどの野心家がどうして孫堅の名声に箔を付ける役回りを演じていたのか?」
袁術は鼻で笑った。
「フン!孫氏は所詮、朕の属国にすぎん!その様な者がどうやって朕を踏み台に出来る!?」
「貴様!」
曹操は袁術に飛びかかろうとした孫策を制止し、質問を続けた。
「ならば!民衆から貰ったモノを大いに自慢してたちどころに私の罵詈雑言を止めてみよ!」
袁術は曹操をぎゃふんと言わせるような答えを言おうと考えていた。しかし、待てども待てども答えが出ず、静寂が支配する時間が続く。
「どうした?何故黙る?」
袁術は結局答えが出ず、自分の涙で自分の頬を濡らした。
「……無い……」
??が悪態を吐く。
「無いって……何で無いんだよ!」
袁術は泣きながらこう叫んだ。
「朕は、もう1人の民も持たぬ国王だったのか。水の一杯も恵んでもらえぬ国王だったのか。そこまで人の心は離れていたのか」
袁術は絶望してとんでもない事を言ってしまった。
「曹操……朕を……朕を殺してくれ!そして、朕を楽にしてくれー!」
袁術の言葉に曹操軍は驚いた。
「え!」
「えぇー!」
曹操ですら驚愕し過ぎて沈黙してしまった。
「これ以上民を失えば天下の笑いもの。もうこの乱世に朕の居場所は無いのだ!」
曹操は漸く決断した。
「??殿、混天綾を」
「おうよ」
??が混天綾を投げ、混天綾が袁術の首を絞めた。
「朕の首級を得た事を誇りに思え」
その直後、袁術は絶命した。
それを見ていた曹操は袁術の従弟の袁胤にこう宣言した。
「袁術の野望年齢が既に成熟していた事を認め、袁術の亡骸を厚遇する事を此処に宣言する!」
それを聴いた袁胤が涙ぐむ。
「申し訳ない!恩に着る!」
孫策は首を傾げた。
「はあぁ?野望年齢ぇ?」
孫策の疑問に曹操はこう答えた。
「この曹操、老化の判断基準を外見では無く勢いで行っている。野望もまた然り。うら若き野望は自分の力を魅せられる乱世を望み、年老いた野望は自分の平穏を護れる治世を好む」
それを聴いた周瑜(字は公瑾)は痛烈な皮肉を浴びせた。
「それはまるで若者の意見より年寄りの意見の方が正しいと申しておる様なモノではないか」
その言葉に対して曹操は自慢げに言い放つ。
「いや、治世は皆が思っておる程頑丈ではない。治世の隣に常に“新しい”が居らねば長続きしない。故に私の野望は中間的な立場である父親世代を維持して欲しいと切に願
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