暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth2この地にて友となる君に名を贈る〜ReunioN〜
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†††Sideルシリオン†††
随分とボロボロにされてしまったものだ。治癒術式ラファエルをフルで使っても10分は掛かる。しかしそれはカールと言う医者がすでに治療を施してくれていたからだ。もしエリーゼに拾われて、カール医師の施術を受けていなければ、私は一体どうなっていた事か。
「感謝してもしきれない恩が出来てしまったな」
だというのに嘘をついて騙して。いくらすぐに別れる事になるとはいえ、命の恩人を騙したのはまずかった。とはいえ身分が証明できない以上は仕方ないと割り切るしかないが。エリーゼが出て行った扉へと視線を向ける。あとで彼女には謝ろう。
「ん?・・・・なんだ?」
少し横になって休んでいると、爆発音が僅かにだが聞こえた。首だけを動かして窓を見るが、頭の位置と窓の高さに差があるため外を見れない。しかし見えずとも聞こえる。連続して爆発が起きている。仕方ない。ラファエルと並行して別の魔術式を発動する。
「
発見せよ
(
コード
)
、
汝の聖眼
(
イシュリエル
)
」
私の魔力光であるサファイアブルーに輝く、手の平サイズの光球を10基発生させ、窓をすり抜けさせて外へと放つ。イシュリエルは探査術式だ。一種のカメラで、イシュリエルの見ている映像が脳内に送られて来る、というものだ。
これで外で何が起きているのかを確認すればいい。そう思っていた矢先、廊下を忙しなく走る足音が近付いてきた。それは私の部屋の前で止まり、ノックもなくバンッと勢いよく扉を開いた。
「突然ごめんなさい!」
「今すぐここから逃げますっ!」
少女が2人。どちらもエリーゼ程の年齢だろう。服装も似通っている。そんな少女たちは、肩で大きく息するほどに走ったのだろう、顔色は蒼白。それにしても、逃げます、か。やはり何か起きているんだな。イシュリエルから送られてくる映像を確認。燃える街。逃げ惑う住民。
(甲冑を着こんだ連中が街を襲っている・・・!?)
状況は最悪と見ていい。くそっ、私がこんな状態に限って・・・。イシュリエルに割いている魔力をラファエルに回すため、イシュリエルの数を3つにまで減らす。その間にも2人の少女は私を車椅子(何処の世界にでもあるものだな)に乗せるために抱き起そうとした。その時、ドォン!と階下から爆発。
「「きゃあああああっ!?」」
少女たちが頭を抱えて蹲る中、ガシャガシャと金属音を鳴らして階段を駆け上がってくる何者か。おそらく街を襲っている連中の仲間だろう。まだ動けるほど回復はしていないが、迎撃するしかないな。そして奴らは現れた。血色の甲冑を纏った騎士たち。手にする武器には血が付着している。住民たちや襲撃を防ごうとしていた街の警備兵たちのものだろう。騎士の一人が部屋に入って来た。2人は「ヒッ」と小さく悲鳴を上げる。
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