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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth2この地にて友となる君に名を贈る〜ReunioN〜
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「っ・・・ああ、殴られないとも。君を傷つけようとする奴が居たら、私が守るよ」

「・・・もう、クラムは死んで役立て、って言われない?」

「当たり前だ。君はクラムじゃない。何せ私を捕らえたのだからな。君は、すごい子だよ」

アギトを右手の平に乗せて、その小さな頭をそっと撫でる。最初は呆けていたが、次第に目の端に涙を浮かべ始めた。漏れだす嗚咽。そして「戻りたくない・・・死にたくない・・・」と本音を口にした。開発目的がどうであろうと融合騎だって生きているんだ。それなのに勝手に命と心を与えておいて、使えないからお前は死んで役に立て、と? ふざけるのも大概にしろよ、今はもう死んでいるオリバー。そしてイリュリアの者ども。

「じゃあ決まりだな。・・・・アギト」

「?? アギト・・・?」

「そう、アギト。君の新しい名前だよ、アギト」

アギトは何度も確かめるように「アギト、アギト、アギト」と反芻する。目から大粒の涙がこぼれた。あ、あれ? 気に入らなかったのか? いや、そうじゃない。彼女の表情を見れば判る。

「気に入ってもらえたかな・・・?」

「アギト・・・・あたしは、アギト!」

涙を両の手の甲で拭い去り、私に笑顔を見せてきてくれたアギト。ずっと側に居られるわけではないが、それでもしばらくは一緒にいようと思う。アギトが独り立ち出来るまで成長し、そして“エグリゴリ”をこの地で殲滅するその時までは。

「これからよろしく頼む、アギト」

「うんっ、マイスター!」

今までの辛さを少しでも忘れてくれるようにアギトを胸に抱く。アギト。歴史が大きく変わらなければ君は将来、必ず真のロード・シグナムと出逢える。その前にはルーテシアとゼストさんか。どちらにしてもその時にはもう私は居ないだろう。
だから祈ることしか出来ない。君に、その時が訪れるまで平穏な日々が待っているように、と。私はアギトを右肩に乗せ、エリーゼ達の後を追う。生存者が居れば私のラファエルが必要になるだろうから。




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