暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth2この地にて友となる君に名を贈る〜ReunioN〜
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炎の短剣を三十基と展開した。それははやてのブラッディダガー、リインのフリジットダガー、ルーテシアのトーデス・ドルヒのような短剣だ。それらが一斉に高速で打ち出され、私を討とうと迫る。しかし残念だが、今の私の防御力なら魔術を使って防ぐまでもない。
私に着弾していく炎の短剣が爆発を起こしていく。爆炎で視界が潰されるがそれは向こうも同じ。奴の気配を感じ取り、私の手元に戻ってくる“グングニル”の軌道を操作。黒煙の中で確かに聞こえる奴の「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?」と言う悲鳴、遅れてドサッと倒れる音。魔力で突風を起こし、黒煙を晴らさせる。視界がクリアになった事で見る。

「・・・・貴様の負けだ」

“グングニル”に腹を貫かれて地面に倒れ伏すオリバーの姿を。私はアギトを鷲掴んでいる奴の左の手首を踏みつけ、左手を無理やり開かせる。ようやくアギトが解放された。手の平の上に座り込むアギトは死に逝く奴の顔をまじまじと眺めるだけ。

「主が死んで、君はやはり悲しいか・・・?」

「・・・わからない・・・。それに、この人は主じゃない・・・」

放心状態の様なアギトがボソボソと呟くように答えてくれた。

「君、これからどうする・・・?」

「・・・敵地で孤立した場合、自壊しろって命令されてる・・・」

捕らえられたアギトから機密が漏洩しないようにするための指示だな。私は「その命令を、君は実行するのかい?」と質問をする。アギトは答えない。迷いがあるんだろう。迷いが無ければ即答するはずだ。

「君、名前はあるのか?」

「名前・・・。融合騎プロトタイプ、ヌンマー・ヌル・ヌル・ヌル・ゼクス・・・」

ナンバー0006・・・それは名前ではなく開発コードだな。そう言えば、アギトという名前を付けたのはルーテシアという話だったか。ここで私がそれを付けるのはあまり良くない気もするが・・・。

「私はオーディン。オーディン・セインテスト・フォン・シュゼルヴァロード」

「???」

いきなりの名乗りに首を傾げるアギト。そして小さく「オーディン・・・?」と呟いた。
それに「ああ、オーディンだ」と微笑みかけ、

「私はこの地で独りでね。よかったら私の友達になってくれないか?」

戦闘甲冑の裾を分解し、分解した切れ端でアギトの首から下の身体を包み込む。いつまでも裸のままで居させるのもダメだろう。アギトだって一応女の子だ。アギトはどうしていいのか解らずと言った風の困惑を顔に浮かべている。

「自壊する必要なんてないよ。それにわざわざ辛い場所に戻る必要もない」

「あそこに戻らなくて、いい?・・・じゃあもうクラムって呼ばれない?」

「ああ、呼ばれないとも。呼ばせもしない」

「・・・もうクラムって殴られない?」

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