拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 劉備 関羽 董卓 賈駆
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だってさ。そこんところどう思うんだ? 扉の外にいる誰かさんは」
「えっ!?」
私は思わず、背後の扉に振り向きました。
その扉を凝視していると、おずおずと開かれていきます。
そこにいたのは――詠ちゃんでした。
「詠、ちゃん……」
「……ぐすっ。月の馬鹿、馬鹿ね……月はボクの……ボクのことなんか……気にしないでいいのに……」
「えいちゃぁん……」
「ゆえぇぇぇ……」
詠ちゃんと抱き合いながら涙が溢れます。
「ゆえ……ぐすっ、月の為なら、ボクはいつだって、死んでもかまわないっ……月がいない世界なんか、ボクにとっては何の価値もない! だからお願い……ボクの、ボクなんかの為に、死ぬなんて言わないで……」
「詠ちゃんっ……ひっく、ダメだよぅ……死ぬなんて言わないで……私、詠ちゃんが死んじゃったら、私も生きていたくないよ……詠ちゃんと一緒に……いつまでも居たいよぉ……」
「月……ボクも一緒に、月と一緒にいたいよ……月ぇ……」
詠ちゃん……ぎゅっと抱きしめる詠ちゃんのぬくもりが、とても暖かくて……嬉しい……
「あー……こほん」
「へぅっ!?」
あぅ……ご主人様がいるの、忘れていました……
「あーそのー……一応ここ、俺の執務室なんで……」
「へぅぅ……」
「ぐすっ……気を利かせなさいよね、馬鹿っ!」
「……………………」
顔を真っ赤にして照れる詠ちゃんの言葉に、ご主人様は頬を掻きながらあさっての方を向きました。
「……ま、ともかくだ。互いに想いやっているのだから、お互い死なないように努力したってことでいいんじゃないか?」
「あっ……はい。そうですね」
「……ふんっ。言われなくても月はボクが護るのよ!」
詠ちゃん……その言葉は嬉しいけど、命が助かったのはご主人様のおかげだよ?
そんなこといっちゃだめだよぅ……
「まあ、今後も月を助けると思ってさ。政務に励んでくれよ、詠」
「うっ…………………………しまった」
がくっ、っと頭を垂れる詠ちゃん。
くすっ……がんばって、詠ちゃん。
私も手伝うから……
「ああ、ちょうどいいや。二人の名前だけどさ」
「……なによ?」
「いや、真名だけだと文官や兵が名前呼べないだろ? だから偽名を使ったらどうかなって」
「へぅ……偽名、ですか?」
確かに使用人という私ならともかく……詠ちゃんが政務もやるなら、名前は必要かもしれません。
けど、私達は名前を捨てたのですから……
「とりあえず名前の候補があるなら聞くけど……詠はなにかある?」
「特にないわよ。好きに呼べばいいじゃない」
「そう? んじゃ賈?で」
「はぁっ!? それじゃ偽名じゃないじゃない!」
「いや、賈?だよ、賈
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