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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
拠点フェイズ 4
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 朝――日も昇らぬ内に目覚めた私は、大きく伸びをして窓の外を見る。
 ようやく明るくなりだした紫の空を見ながら、昨日の事を思い出していた。

 反董卓連合での戦いにおける、戦没者達の合同葬儀。

 それはご主人様の天の葬儀の形式を取り入れたものだった。
 『本来なら仏教式がいいんだけど、この時代には仏教が伝来してないから……』とのこと。
 なんのことかはよくわからないが、お経というものを唱えるのが正式だと言っていた。
 
 やったことは骨が納められた幾つもの棺の前に、香りの出る木の粉末を平皿の上に置いた火のついた炭の上に降りかける、というもの。
 これは巴郡からの輸入品の中にあった、沈香(じんこう)というものらしい。
 この香りを嗅いでいると、心が安らいでくるから不思議だ。

 そして合掌して頭を下げ、死んだ者に安らかに眠るように祈る。
 これが作法らしい。

 試しにご主人様と兄君である一刀殿がやった所作に、私を始め皆が圧倒された。
 その所作が、何故か美しいと思えたのだ。
 今回の葬儀に参列した者から、今後梁州の葬儀は天のやり方でやりたいという話も出ている。
 鳥葬や風葬が主流だった葬儀は、今後火葬を含めた葬儀になっていくかもしれない。

 そして漢中から数里離れた場所に、共同墓地が急遽立てられることになった。
 今後、戦没者はそこで祀られ、葬られるとのこと。
 戦没者の魂魄は、その骨が大地に埋められることにより梁州を見守るという考えらしい。

 そんな話をしたご主人様に対して、一刀殿は『お前は新興宗教の教祖にでもなるのか』とおっしゃっていた。
 どういう意味だろうか?
 ご主人様は、『そういうのが信じられている時代なのだから、しょうがないだろう。宗教が国教にならないようにする必要はあるけどな。大陸十字軍なんて俺も嫌だ』と苦笑しておられた。

 ご主人様の深慮遠謀は、私などの理解の外なのかもしれない。

 ただ、葬儀の後。
 共同墓地に建てられた、馬正殿のみの墓石。
 その墓石の前で跪き、改めて手を合わせて眼を閉じたご主人様の姿に…何故か涙が溢れてしまった。

 それは桃香様も鈴々も……朱里や雛里すらも同様だった。
 あの星ですら顔を伏せ、誰にも見られないように涙を流していた。

 何故かはわからない。
 それでも私は……何故かそれを恥とも思わなかった。
 それが正しいと、理由は分からないが確信できた。 

 その場にいた全員が、それぞれ同じように手を合わせて馬正殿を想った。

 そして私は、馬正殿に誓ったのだ。
 馬正殿に成り代わり、この梁州を、ご主人様と桃香様のお二人を、身命を以って護ると。

「……ん? 朝日、か……」

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