拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 劉備 関羽 董卓 賈駆
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、梁州を治める劉備の第二軍主導による『遠征兼訓練』が、近隣の山賊を大いに震え上がらせていた。
月に数度、不定期に行われるそれは、通称『山賊狩り』と呼ばれ、どんなに小さな山賊でも見逃さず、文字通り地の果てまで追いかけるのである。
その凄まじさに、黄巾の残党を含めた山賊の類は決して近寄ろうとはしなくなっていった。
本来ならばそこまでするか、と思うのだが、近隣に山賊が出なくなるかと思えば、今度は荊州や益州の国境付近の深い山奥まで探索するようになり、潜んでいた山賊たちすら狩られていくのである。
全ては力がありあまり、嬉々として毎日百里(五十km)を昼夜構わず走り回る、第二軍の兵達の暴走とも言える行為によるものだった。
主にそれを率いる将軍の無限の体力が、全ての元凶であると言ってもいい。
その行為が更に領内の安全を喧伝させ、また人と物の流通が増えていくのである。
となれば、その安全な街道沿いに人が集まるのも道理であった。
最初は露天、小さな小屋、そしてそれが鈴なりになれば邑として発展していく。
いつしか梁州の街道は、街道市場と呼ばれる小さな集落が点在するようになっていたのである。
そうした梁州の街道を、そこを治める劉備率いる軍が行軍している。
すると、街道周辺を商いにしている商人、そして新しく自らの住処とした集落の邑人たちがその帰還を喜び、讃えながら迎えるようにまでなっていたのである。
「……………………」
その様子を唖然と見ている二人の少女がいた。
並べた馬の上で、揃って周囲の様子を眺めている。
「……なに、これ?」
驚き、目を見開いてその様子を見ている少女の隣で、もう一人の少女が呟く。
その様子を見ていた一人の男が、苦笑するようにその横に馬を進めた。
「……これが梁州。桃香――劉備が治め、人々に笑顔をと願った国ですよ」
男の言葉に、少女たちが信じられない目で男を見る。
「……たった二年。たった二年で、一体どんな風にしたらこんなことになるのよ!」
「え、詠ちゃん、落ち着いて……」
「と、言われても……正直、人の流入に手を焼いているのはこっちでして。この街道のこんな状態も、俺だって予想外でしたよ?」
男が肩を竦めて苦笑する。
と、そこに一人の少女が、小さな馬を操りながら三人の横へと並んだ。
「じゅ、盾二様……また人が増えていませんか?」
「ああ、雛里。みたいだな……連合参加の時にも気になっていたけど、こうも急激に街道周辺に人が増えてきたのは、やっぱり洛陽出る前のあの噂のせいだろ?」
「は、はい……水関を単独で打ち破り、献帝陛下すら一目置く存在だと噂されたせいかと……」
雛里の言葉に、盾二が顔を顰める。
「まったく
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