拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 劉備 関羽 董卓 賈駆
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―― other side 梁州国境周辺 ――
宛から上庸へと続く荒野。
本来ならば大陸の中央部、洛陽周辺でもなければ整備された街道などはない。
禿山に近い荒野を、山や谷などを目印にして目的の場所へと向かうのが、この時代の旅である。
だが、梁州は違った。
国境からその風景がガラリと変わるのである。
宛から少し小高い丘を登り切ると、そこにはなにか重いもので平らに整地されたような『道』がある。
馬に乗った兵が十人並んでも余裕があるその『道』に、違和感を覚える旅人や商人は多い。
だが、本当に驚くのはその先にある。
約四十里(二十km)ごとに、道の傍に小さな駐屯地が設置されているのだ。
そこは、約百人は楽に泊まれるような大きな石造りの建物がある。
裏手には井戸もあり、厩舎もあった。
その傍には高い櫓も建っており、一見すると小さな砦のようにも見える。
そして常駐するように兵士が訓練しているのである。
旅人は、道に点在するそうした建物を物珍しく見ながら、整地された街道を歩いて行く。
すると再度驚くのは、その道をすれ違う兵の数とその頻度であった。
街道を歩くと、その道々で必ずと言っていいほど巡回している兵と出会うのである。
慌てて道の端に逸れ、その兵たちに頭を下げようとする旅人もいるが、兵はにこやかに笑って去っていく。
何故にこんなに愛想がいいのかと思うぐらいの気味悪さだ。
だが、そんな兵でも旅人を狙う山賊が出た時は容赦がない。
逃げている旅人を見つけると、すかさず兵たちが走りだし、山賊を成敗しようとする。
普段から鍛えている兵の脚力はすさまじく、ただの山賊相手では全く歯がたたない。
いつしか梁州付近の商人には、まことしやかに囁かれるようになった言葉がある。
『梁州の街道さえ歩いていれば、大陸一安全な旅ができる』と。
街道の安全は、そこを通る商人や旅人を増大させた。
結果として流通を安定化させ、その販路の物流による収益を著しく増大させていく。
梁州の街道における安全性は、大陸随一と呼ばれるようになり、人口の流入も増えていく。
いつしか地方の一都市にしかすぎなかった上庸は、梁州の玄関口となり、その規模を大きく膨れ上がらせた。
それは梁州内の他の街でも同様であった。
特に荊州や南の巴郡への玄関口とも言える巴中は、その物流の中継点として漢中に優るとも劣らぬ人口の増大を見せていた。
人が増えればそこを狙う山賊が増えるのが世の常ではあるが、こと梁州だけはそれが無縁であった。
先述の通り、街道の警備は大陸随一と呼ばれるほどの規模で行われている。
なかでも通常警備の他に
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