第百一話 託すものその五
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そのうえでだった、昼もトレーニングをしてだった。そのトレーニングが終わった時に。
ランニングを終えて地連の事務所があるビルの前で整理体操をしている二人に声が言ってきた。その言葉はというと。
「では」
「今からか」
「戦いだね」
「そうです、闘ってもらいます」
「少し待ってくれるか」
ここでだ、こう声に言った工藤だった。
「今は」
「整理体操中だからですか」
「もっと言うと身体も綺麗にしたい」
額の汗を手にしているタオルで拭きながらの言葉だ。
「シャワーを浴びてな」
「闘いの前に身体を清めたいのですか」
「そういうことだ、いいか」
「俺もだよ」
高橋もだった、声がする方に顔を向けて微笑んで言った。
「そうしたいけれどいいかな」
「わかりました」
二人の言葉を受けてだ、こう返した声だった。
「それでは」
「ではだ、今からだ」
「シャワーを浴びて着替えてくるよ」
「それからだな」
「闘いだね、俺達の最後の」
「休憩時間は宜しいでしょうか」
声からの提案だった、これは。
「そちらは」
「いい」
工藤が声に答えた。
「それはな」
「俺もだよ」
高橋もだ、こう声に返した。
「それはいいよ」
「左様ですか」
「シャワーを浴びれば充分だ」
「戦えるだけの休憩はそれで取れるよ」
「終わらせるのなら早く終わらせたい」
「だからいいよ」
「わかりました」
声も二人の考えを受け入れた、そしてだった。
まずは二人の整理体操を見届けシャワーを浴びにビルに入っていくのも見守った。そしてそのうえでだった。
二人はビルから出た、見れば。
二人共制服だった、工藤は海上自衛隊の高橋は警察官の。どちらも帽子まで被り冬の制服姿で出て来た。
そのうえでだ、声に言った。
「でははじめるか」
「今からね」
「わかりました。では」
声も応えた、そしてだった。
声は二人にそれぞれ怪物を出してきた、周りには誰もいなく闘いを見られる心配もなかったのでここで出してきたのだ。
怪物は二体だった、どちらも。
巨人だった、古代ギリシアの鎧と兜で身を包んだ恐ろしい顔の巨人だ、大きさはキュクロプスに匹敵する。
顔には濃い髭があり兜の頬当てから出ている、手には槍がある。
脚は蛇だった、どちらも。蛇の胴から尾までが脚になっている。声はその二人の巨人を出してから工藤達に言った。
「ギガンテスです」
「ギリシア神話の巨人の一つか」
「そうです、かつて神と戦った」
その巨人達だというのだ。
「彼等を出しました」
「レプリカか、だが」
「強さはそのままです」
神話にある巨人のままというのだ。
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